重なる渦巻銀河と星空に秘められた淡い銀河、ヨーロッパ南天天文台が公開
sorae.jp / 2021年11月10日 21時24分
こちらは「うみへび座」の方向にある渦巻銀河「NGC 3314a」「NGC 3314b」とその周辺を捉えた画像です。正面を向けた手前のNGC 3314aと斜めに傾いている奥のNGC 3314bは重なり合って見えていて、2つの銀河はあわせて「NGC 3314」と呼ばれています。
重なる2つの銀河と聞くと、互いに重力で影響を及ぼし合い、衝突・合体することもある相互作用銀河を思い浮かべるかもしれませんが、ヨーロッパ南天天文台(ESO)によるとNGC 3314a(約1億1700万光年先)とNGC 3314b(約1億4000万光年先)はたまたま地球から重なって見えているだけで、物理的には無関係なのだとか。偶然の産物であるこの位置関係は、銀河の特性を調べるための機会(星の光を塵がどのように吸収するのかなど)を研究者にもたらしているといいます。
実は、この画像にはNGC 3314以外にも注目すべき銀河の姿が捉えられています。画像の中央右下に、黄味がかった淡い天体が写っているのがわかりますでしょうか。これは「UDG 32」という銀河で、日本語では「超淡銀河」や「超拡散状銀河」と訳される「Ultra-diffuse Galaxy(UDG)」に分類されています。
ESOによると、UDGは表面輝度(単位面積あたりの輝度)がとても低い銀河で、天の川銀河と同程度のサイズがありながらも星の数は100分の1~1000分の1しかないといいます。UDGは星形成に欠かせないガスを早い段階で失った銀河ではないかとも考えられていますが、ESOによると、UDG 32に関してはNGC 3314aに由来するフィラメント構造から形成された可能性が指摘されており、今後のさらなる観測に期待が寄せられています。
冒頭の画像はESOのパラナル天文台(チリ)にある口径2.6mの「VLTサーベイ望遠鏡(VST)」による光学観測データをもとに作成されたもので、ESOの今週の一枚として2021年11月8日付で公開されています。
関連:超淡銀河「UDG 4」は夜空に溶け込んでしまうほど暗く淡い
Image Credit: ESO/Iodice et al.
Source: ESO
文/松村武宏
この記事に関連するニュース
-
花のような美しさの楕円銀河「NGC 474」 すばる望遠鏡が撮影
sorae.jp / 2025年1月11日 22時8分
-
きらめく大小の銀河たち ダークエネルギーカメラが撮影した“ポンプ座”の銀河団
sorae.jp / 2025年1月3日 21時2分
-
宇宙の偶然が生んだ光景:NGC 4496の双子銀河
sorae.jp / 2025年1月2日 21時0分
-
ウェッブ宇宙望遠鏡が観測した“とも座”の渦巻銀河「NGC 2566」
sorae.jp / 2024年12月27日 21時0分
-
ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した“くじら座”の棒渦巻銀河「NGC 337」
sorae.jp / 2024年12月23日 22時15分
ランキング
-
1個人情報バレる? 書かれた謎の「12桁の数字」で何が分かる? 違反歴は? 「最後のひと桁」で分かるコトは? 隠された秘密とは
くるまのニュース / 2025年1月20日 9時10分
-
2「フジCM差し替え」を"英断"と称える人への違和感 企業がCMを差し替える真の狙いは"制裁"ではない
東洋経済オンライン / 2025年1月20日 8時0分
-
330代会社員の息子が「クレジットカード」の審査に落ちました。年収も「400万円」あるのになぜ?
ファイナンシャルフィールド / 2025年1月20日 2時10分
-
4ホンダが斬新「シビックタイプR」初公開! 精悍すぎる“真っ黒インテリア”採用で約600万円!「レーシングブラックパッケージ」どんなモデル?
くるまのニュース / 2025年1月20日 13時10分
-
5自宅からの「はみ出し駐車」は許される? タイヤが道路に出ると違法? セーフの「線引き」は? どんな違反に該当するの?
くるまのニュース / 2025年1月20日 12時30分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください