可視光と電波、異なる波長で観測された棒渦巻銀河「NGC 1300」
sorae.jp / 2022年1月14日 21時28分
こちらは「エリダヌス座」の方向およそ6100万光年先にある棒渦巻銀河「NGC 1300」です。棒渦巻銀河とは、中心部分に棒状の構造が存在する渦巻銀河のこと。渦巻銀河全体のうち約3分の2には棒状構造があるとされていて、私たちが住む天の川銀河も棒渦巻銀河に分類されています。
画像にはNGC 1300の明確な棒状構造の左右から渦巻腕が伸びている様子が捉えられています。渦巻腕には若くて高温の青い星々が分布していますが、その青い色合いを背景に、まるで燃えるような黄金色の輝きが棒状構造や渦巻腕を彩るように広がっています。これは星間空間(星と星の間に広がる空間)に存在する一酸化炭素(CO)が発した電波を捉えたもの(擬似的に着色)で、星を生み出す材料となる分子雲(低温のガスや塵の集まり)の分布に対応しています。
この画像は観測プロジェクト「PHANGS」の一環として取得されました。「ハッブル」宇宙望遠鏡、チリの電波望遠鏡群「アルマ望遠鏡(ALMA)」、同じくチリのパラナル天文台にあるヨーロッパ南天天文台(ESO)の「超大型望遠鏡(VLT)」が参加したPHANGSプロジェクトでは、近傍宇宙に存在する90の銀河における星形成領域を調査するべく、5年以上の歳月をかけて高解像度の観測が行われています。
ESOによると、NGC 1300の黄金色で表現された一酸化炭素の分布はアルマ望遠鏡を、その背景に広がる星々の輝きはVLTの広視野面分光観測装置「MUSE」を使って取得されました。天文学者は異なる波長の電磁波で銀河を観測することで、新しい星を生み出す星形成活動がどのようにして活性化し、後押しされ、あるいは妨げられるのかを研究することができるといいます。冒頭の画像はESOの今週の一枚「A cosmic caramel swirl」として、2022年1月10日付で公開されています。
関連:まるで花火!近隣銀河の星形成領域の鮮明で美しい地図帳
Image Credit: ESO/ALMA (ESO/NAOJ/NRAO)/PHANGS
Source: ESO
文/松村武宏
この記事に関連するニュース
-
ハッブル宇宙望遠鏡が撮影 “レチクル座”の渦巻銀河「NGC 1559」
sorae.jp / 2024年9月20日 17時56分
-
ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した“おとめ座”の渦巻銀河「NGC 5668」
sorae.jp / 2024年9月17日 21時20分
-
ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した小マゼラン雲の散開星団「NGC 346」
sorae.jp / 2024年8月30日 21時56分
-
ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した「さんかく座銀河」の中心付近
sorae.jp / 2024年8月26日 20時55分
-
ウェッブ宇宙望遠鏡が観測した“りょうけん座”の渦巻銀河「M106」
sorae.jp / 2024年8月24日 11時23分
ランキング
-
1「やってみますじゃないんだよ!」糖尿25年の男性が医師の"最終激怒警告"3カ月後に迎えた「まさかの結末」
プレジデントオンライン / 2024年9月22日 10時15分
-
2ペーパードライバーの “迷惑運転行為”に、走行距離30万km超のゴールド免許所持者が怒りの告発
日刊SPA! / 2024年9月15日 15時52分
-
3姿を消していたヒロミが旬芸人をしのぐ人気な訳 打ち切り「ジョンソン」の後釜番組のMCに座る
東洋経済オンライン / 2024年9月22日 11時0分
-
4「築150年の巨大なゴミ屋敷」に隠された驚く事実 90代の父が暮らす、忍者屋敷のような実家を片付け
東洋経済オンライン / 2024年9月22日 10時0分
-
5「肉を食べれば元気になる」は大間違い…88歳医師「データが証明"高齢者が本当にとるべき食材の種類"」
プレジデントオンライン / 2024年9月22日 15時15分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください