NASA「アルテミス計画」初の有人飛行ミッションとその先に向けて進む準備
sorae.jp / 2022年1月14日 11時5分
アメリカ航空宇宙局(NASA)は現在、半世紀ぶりの有人月面探査を目指して「アルテミス」計画の準備を進めています。
地球から月周辺へと4名の宇宙飛行士を運ぶ新型の有人宇宙船「Orion(オリオン、オライオン)」と、オリオン宇宙船の打ち上げに使われる新型ロケット「SLS(スペースローンチシステム)」は、無人で実施される同計画初のミッション「アルテミス1」で使われる初号機の組み立てが2021年10月に完了しました。アルテミス1は2022年2月中旬以降の実施が予定されており、ケネディ宇宙センターで打ち上げに向けた地上テストが進められています。
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アルテミス1の実施が間近に迫るアメリカでは、アルテミス計画初の有人ミッションとなる「アルテミス2」や、アルテミス2以降で使用されるSLSの製造作業も進められています。
アルテミス2で使われるSLSの上段(第2段)「ICPS(Interim Cryogenic Propulsion Stage)」は2021年7月下旬にフロリダ州へ到着。現在はボーイングとユナイテッドローンチアライアンス(ULA)の施設で最終段階の準備が進められており、NASAによると近日中にケネディ宇宙センターに向けて出荷される見込みです。ICPSにはエアロジェットロケットダインの「RL10」エンジンが1基搭載されており、オリオン宇宙船を月へ向かう軌道へ投入します。
SLSの中核となる「コアステージ」(第1段)は、ルイジアナ州ニューオリンズのミシュー組立工場にて製造が行われています。NASAによると現在ミシュー組立工場ではアルテミス2をはじめ、アルテミス計画初の有人月面着陸が行われる「アルテミス3」ミッションや、その次の「アルテミス4」ミッションで使われるコアステージの製造も進められています。
SLSにはスペースシャトルに搭載されていた「SSME」の改良版である「RS-25」エンジンが4基備わっていますが、こちらはコアステージへの搭載に向けた出荷準備が整いつつあり、エアロジェットロケットダインではアルテミス4より後のミッションで使われるRS-25の製造も進められています。
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また、コアステージの左右に取り付けられる固体燃料ロケットブースターはアルテミス3向けまでの製造が完了。ユタ州にあるノースロップグラマンの施設ではアルテミス4で用いられるブースターの製造が進められています。
なお、アルテミス3までのSLSは上段にICPSを用いる「ブロック1」構成で飛行しますが、アルテミス4からは上段に「EUS(Exploration Upper Stage)」を用いる「ブロック1B」に切り替えられます。ミシュー組立工場ではその準備としてEUSの試作版の製造も始まっています。EUSはICPSと同じRS10エンジンを4基搭載し、40トン前後のペイロード(搭載物)を月へ向かう軌道へ投入する能力を持ちます。
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いっぽう、SLSに搭載されるオリオン宇宙船の製造も順調に進められていて、宇宙飛行士が搭乗する「クルーモジュール」はアルテミス3で飛行する機体まで製造が始まっています。また、エンジンやソーラーパネルを備えた欧州製の「サービスモジュール」については、アルテミス2で用いられる機体がケネディ宇宙センターへ2021年10月に到着しました。
2021年12月28日に改定された政府の宇宙基本計画工程表には、アルテミス計画を考慮した上で、2020年代後半を目処に日本人宇宙飛行士による月面着陸実現を図ると記されています。数年後には日本人も搭乗することになるかもしれないオリオン宇宙船と、その打ち上げに使われるSLS。早ければ来月にも行われる初飛行に注目です。
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Image Credit: NASA
Source: NASA / 内閣府
文/松村武宏
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