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「みずがめ座R星」多波長観測で捉えられた性質や構造

sorae.jp / 2022年2月11日 22時39分

【▲ 「ハッブル」宇宙望遠鏡とX線観測衛星「チャンドラ」が観測した「みずがめ座R星」(Credit: X-ray: NASA/CXC/SAO/R. Montez et al.; Optical: Data: NASA/ESA/STScI, Enhanced processing by Judy Schmidt (CC BY-NC-SA). X-ray/Optical composite processing by CXC)】

こちらは「みずがめ座」の方向およそ710光年先にある「みずがめ座R星」(R Aquarii)です。アメリカ航空宇宙局(NASA)および欧州宇宙機関(ESA)の「ハッブル」宇宙望遠鏡による光学観測データと、NASAのX線観測衛星「チャンドラ」によるX線の観測データを用いて作成されました。

みずがめ座R星は、巨大な赤色巨星とコンパクトな白色矮星からなる連星です。白色矮星には赤色巨星の外層から流れ出たガスが降り積もり続けていて、時折爆発的な核融合反応(新星爆発)が起きると考えられています。1073年には、みずがめ座R星の位置に「客星」(※)が出現したことが韓国で記録されているといいます。

※…客星:突然出現したように見える天体のこと。超新星、新星、彗星など

チャンドラの官制を担うスミソニアン天体物理観測所のチャンドラX線センターによると、紫で表されたチャンドラのX線観測データは、白色矮星から噴出したジェットが周辺の物質と衝突し、衝撃波を生成する様子を捉えています。いっぽう、赤と青で表されたハッブルの光学観測データは、古い時代に起きた爆発の証拠となる構造を示しているといいます。

【▲ チャンドラがX線で観測した「みずがめ座R星」(Credit: X-ray: NASA/CXC/SAO/R. Montez et al.)】

人の目で見ることができる光(可視光線)は、電磁波全体のごく一部でしかありません。ハッブルとチャンドラによって観測されたみずがめ座R星のように、天体を様々な波長の電磁波で観測(多波長観測)すると、特定の波長だけではわからなかった性質や構造が見えてきます。

2021年12月には赤外線を捉える宇宙望遠鏡「ジェイムズ・ウェッブ」や、X線偏光を捉える観測衛星「IXPE(Imaging X-ray Polarimetry Explorer)」が相次いで打ち上げられました。これらの新たな観測手段がもたらす発見にも期待が高まります。冒頭の画像はチャンドラX線センターから2022年2月2日付で公開されています。

 

関連:NASAの観測衛星「チャンドラ」が天王星から放射されたX線を初めて検出

Source

Image Credit: X-ray: NASA/CXC/SAO/R. Montez et al.; Optical: Data: NASA/ESA/STScI, Enhanced processing by Judy Schmidt (CC BY-NC-SA). X-ray/Optical composite processing by CXC チャンドラX線センター - An Expanse of Light

文/松村武宏

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