欧露共同の火星探査ミッション「エクソマーズ」打ち上げ再延期の見込み
sorae.jp / 2022年3月3日 17時16分
欧州宇宙機関(ESA)は現地時間2月28日、ロシアとの協力に関する声明を発表しました。ESAはロシアの国営宇宙企業ロスコスモスと共同で火星探査ミッション「エクソマーズ」を実施しており、同ミッション2回目の探査機打ち上げを2022年9月に控えていましたが、同年中に打ち上げられる可能性は低い状況となっています。
「エクソマーズ2022」として今年打ち上げ予定だったのは、欧州の探査車「ロザリンド・フランクリン」と、ロシアの着陸機「カザチョク」です。ロザリンド・フランクリンは火星の表面下最大2mの深さからサンプルを採取して、生命の痕跡を探すことを目的に開発されました。カザチョクはロザリンド・フランクリンを載せて火星表面に着陸し、その後は着陸地点での定点観測を行います。
ロザリンド・フランクリンとカザチョクは、火星のオキシア平原(Oxia Planum)に着陸します。オキシア平原ではかつて水が流れていて、生命の痕跡が粘土や堆積物によって放射線や酸化作用から守られてきた可能性があると考えられています。打ち上げにはロシアの「プロトン」ロケットが用いられ、2023年6月に火星へ到着する予定でした。
ESAは2月28日の声明において、ウクライナへの軍事行動に踏み切ったロシアに対する制裁や広範の背景事情により、ロザリンド・フランクリンとカザチョクが「2022年に打ち上げられる可能性は極めて低い」と言及しています。
なお、ロザリンド・フランクリンとカザチョクは2020年夏に「エクソマーズ2020」として打ち上げられる予定でしたが、新型コロナウイルス感染症などの影響により、2022年に延期されることが2020年3月に発表されていました。
関連:「エクソマーズ」の打ち上げは2022年に延期。新型コロナウイルスの影響か
Source
Image Credit: ESA/ATG medialab ESA - ESA statement regarding cooperation with Russia following a meeting with Member States on 28 February 2022文/松村武宏
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