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ハッブルが撮影、若い星のジェットが輝かせる「ハービッグ・ハロー天体」

sorae.jp / 2022年3月7日 21時8分

ハービッグ・ハロー天体「HH 34」(Credit: ESA/Hubble & NASA, B. Nisini)

【▲ ハービッグ・ハロー天体「HH 34」(Credit: ESA/Hubble & NASA, B. Nisini)】

こちらは「オリオン座」の方向約1250光年先にある「オリオン大星雲(M42)」の一部を捉えた画像です。人の目には見えない赤外線の波長で撮影されたため、色は擬似的に着色されています。オリオン大星雲は太陽系に近い星形成領域の一つで、ガスや塵を材料に新たな星が誕生している場所です。

画像の右上には、双方向に噴出した一組のジェットが捉えられています。欧州宇宙機関(ESA)によると、誕生して間もない活発な若い星は、細く絞られたガスのジェットを両極方向に高速で噴出することがあるといいます。

左下方向に噴出したジェットの延長線上に注目すると、ピンク色に着色された雲のような天体が写っています。これは「HH 34」と呼ばれる天体で、若い星を取り巻く物質がジェットに衝突・加熱されることで輝いていると考えられています。若い星の周囲に見られるこのような星雲状の天体は「ハービッグ・ハロー(Herbig-Haro)天体」と呼ばれています。

HH 34をはじめとしたハービッグ・ハロー天体は「ハッブル」宇宙望遠鏡によって観測され続けています。ハッブル宇宙望遠鏡はハービッグ・ハロー天体が若い星のジェットとともに数年単位で変化する様子を捉えてきました。2022年夏からの科学観測開始に向けて準備が進む次世代望遠鏡「ジェイムズ・ウェッブ」は若い星を取り囲む塵の中を赤外線の波長を用いて覗き込み、ハービッグ・ハロー天体を生み出すジェットの研究に革命をもたらすと期待されています。

冒頭の画像はハッブル宇宙望遠鏡に搭載されている「広視野カメラ3(WFC3)」の撮影画像(赤外線のフィルター4種類を使用)をもとに作成されたもので、ESAからハッブル宇宙望遠鏡の今週の一枚として2022年3月7日付で公開されています。

 

関連:接近していそうで実は離れている2つの銀河、ハッブルと地上の望遠鏡が撮影

Source

Image Credit: ESA/Hubble & NASA, B. Nisini ESA/Hubble - Hubble Snaps a Jet Set

文/松村武宏

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