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色鮮やかに元素の分布が示された銀河「M99」、ヨーロッパ南天天文台が画像公開

sorae.jp / 2022年3月16日 21時5分

渦巻銀河「NGC 4254(M99)」(Credit: ESO/PHANGS)

【▲ 渦巻銀河「NGC 4254(M99)」(Credit: ESO/PHANGS)】

こちらは「かみのけ座」の方向約4900万光年先にある渦巻銀河「NGC 4254」です。18世紀にフランスの天文学者シャルル・メシエがまとめた「メシエカタログ」には「M99(Messier 99)」として登録されています。

NGC 4254は明瞭な渦巻腕を持つことから、はっきりと目立つ渦巻腕がある「グランドデザイン渦巻銀河」(grand design spiral galaxy)にも分類されています。ただしこの画像では銀河の中央付近をクローズアップしているため、渦巻腕は途中までしか写っていません。

末尾に掲載した画像のように、一般的な渦巻銀河の画像では渦巻腕が青い星々の輝きに彩られています。一方ここに写るNGC 4254は、新たに誕生した星によってイオン化した様々な元素のガスの分布に応じて色が付けられているため、まるで赤やオレンジの輝きを放つ花火のように見えます。画像を公開したヨーロッパ南天天文台(ESO)によると、色は赤が水素、オレンジが硫黄、青が酸素の分布にそれぞれ対応しています。

この画像は近傍宇宙の銀河を対象とした観測プロジェクト「PHANGS」(Physics at High Angular resolution in Nearby GalaxieS)の一環として取得されました。PHANGSプロジェクトにはアメリカ航空宇宙局(NASA)と欧州宇宙機関(ESA)の「ハッブル」宇宙望遠鏡、チリの電波望遠鏡群「アルマ望遠鏡(ALMA)」、同じくチリのパラナル天文台にあるESOの「超大型望遠鏡(VLT)」が参加しました。

PHANGSプロジェクトでは銀河における星形成を理解するために、様々な波長の電磁波を使った高解像度の観測が5年以上の歳月をかけて行われました。冒頭の画像はVLTの広視野面分光観測装置「MUSE」を使って3つの波長域で取得された観測データをもとに作成されたもので、ESOの今週の一枚として2022年3月14日付で公開されています。

2021年6月にESOから公開されたNGC 4254の全体像(Credit: ESO)

【▲ 2021年6月にESOから公開されたNGC 4254の全体像(Credit: ESO)】

 

関連:死にゆく恒星に彩られた天空の車輪、ヨーロッパ南天天文台が画像公開

Source

Image Credit: ESO/PHANGS ESO - A hypnotic golden spiral

文/松村武宏

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