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NASA火星ヘリ、着陸時に投棄されたパラシュートとバックシェルを撮影

sorae.jp / 2022年4月28日 22時0分

火星探査車「Perseverance」の火星到着時に投棄されたバックシェル(左)とパラシュート(右上)(Credit: NASA/JPL-Caltech)

【▲ 火星探査車「Perseverance」の火星到着時に投棄されたバックシェル(左)とパラシュート(右上)(Credit: NASA/JPL-Caltech)】

赤い大地に散乱する残骸を捉えたこの画像は、アメリカ航空宇宙局(NASA)の火星ヘリコプター「Ingenuity(インジェニュイティ)」によって現地時間2022年4月19日に撮影されました。

画像の左側に写っているのは、NASAの火星探査車「Perseverance(パーセベランス、パーシビアランス)」とIngenuityが着陸直前まで格納されていたバックシェルと呼ばれるもの。右上には大気圏突入時に機体を減速させたパラシュートが見えます。また、バックシェルの左上には球形をしたIngenuityの着陸脚先端の一部が、右下にはIngenuityの影が写っています。

2020年7月に打ち上げられたPerseveranceとIngenuityは、日本時間2021年2月19日朝に火星のジェゼロ・クレーターへ着陸しました。NASAと欧州宇宙機関(ESA)による火星表面からのサンプルリターン計画の先鋒として送り込まれたPerseveranceは、2022年4月までに8本の岩石サンプル採取に成功。Perseveranceの車体下部に搭載されて火星に到着したIngenuityは、2021年4月に人類史上初めて「地球以外の天体における航空機による制御された動力飛行」に成功しています。

スカイクレーン方式で火星表面に到達したPerseverance(下)の想像図。このあと降下ステージ(上)はケーブルを切り離して飛び去り、Perseveranceから遠く離れた場所へ落下して任務を終える(Credit: NASA/JPL-Caltech)

【▲ スカイクレーン方式で火星表面に到達したPerseverance(下)の想像図。このあと降下ステージ(上)はケーブルを切り離して飛び去り、Perseveranceから遠く離れた場所へ落下して任務を終える(Credit: NASA/JPL-Caltech)】

六輪のロボット探査車であるPerseveranceには着陸用のロケットエンジンなどは搭載されていないため、着陸時には8基のロケットエンジンを搭載した降下ステージが最終段階の減速と姿勢制御を担い、ケーブルで吊り下げられたPerseveranceを火星表面に下ろしました。この着陸方法は「スカイクレーン」と呼ばれていて、先代の火星探査車「キュリオシティ」もこの方法で着陸に成功しています。

関連:着陸時の動画や火星の風の音。NASA探査車「Perseverance」新たなデータ公開

打ち上げから火星到着までの間、Perseveranceと降下ステージはお椀型のバックシェルと耐熱シールドに挟まれるようにして格納されていました。耐熱シールドは火星の大気圏突入時に機体を保護する役割を果たすもので、バックシェルに付属しているパラシュートが展開された後に投棄されています。

その後しばらくはパラシュートによる減速が続きますが、高度2km付近でパラシュートはバックシェルごと切り離され投棄されており、その後は前述のスカイクレーン方式による着陸が行われました。

降下中のPerseveranceを描いた想像図。Perseveranceと降下ステージはお椀型のバックシェルに格納されており、バックシェルからはパラシュートが伸びている(Credit: NASA/JPL-Caltech)

【▲ 降下中のPerseveranceを描いた想像図。Perseveranceと降下ステージはお椀型のバックシェルに格納されており、バックシェルからはパラシュートが伸びている(Credit: NASA/JPL-Caltech)】

今回Ingenuityが撮影したのは、切り離し後に火星表面へ落下したPerseveranceのバックシェルとパラシュートです。冒頭の画像はIngenuityによる26回目の飛行中に合計10枚撮影された画像の一つ。この飛行は投棄後のバックシェルとパラシュートを撮影するために計画されたのだといいます。

NASAのジェット推進研究所(JPL)によると、投棄されたバックシェルは時速約126kmで火星表面に激突したため、激しく損傷して周囲に破片が散らばっていますが、表面のコーティングは大気圏突入を経てもなお無傷のようだといいます。また、砂埃に覆われたパラシュートは全体の3分の1しか見えていないものの、展開中に吹き付けられた超音速気流による損傷の兆候は見当たらないようです。

詳しい分析には数週間かかるものの、Ingenuityが撮影した画像から得られるこうした貴重な情報は、火星サンプルリターン計画を含む今後のミッションに活かされることが期待されています。

別の角度から撮影されたPerseveranceのバックシェル(中央)とパラシュート(左上)(Credit: NASA/JPL-Caltech)

【▲ 別の角度から撮影されたPerseveranceのバックシェル(中央)とパラシュート(左上)(Credit: NASA/JPL-Caltech)】

なお、Perseveranceは2022年3月14日からジェゼロ・クレーターの西部に広がる三角州に向けて移動していましたが、1か月後の4月13日に三角州の上り口へ到着しました。クレーターの底から約40mの高さがある三角州を上るルートには3つのオプションがあることから、この場所は「Three Forks(スリーフォークス)」と呼ばれています。Perseveranceの運用チームは三角州を上るための最適なルートを検討しつつ、半年ほどかけて約8本の岩石サンプルを採取する予定です。

 

関連:NASA火星探査車「Perseverance」古代の三角州へ向かう1か月間の旅をスタート

Source

Image Credit: NASA/JPL-Caltech NASA/JPL - NASA’s Mars Helicopter Spots Gear That Helped Perseverance Rover Land NASA/JPL - NASA’s Perseverance Rover Arrives at Delta for New Science Campaign

文/松村武宏

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