NASAが5種類の「ブラックホール壁紙」を公開
sorae.jp / 2022年6月10日 22時36分
ブラックホールは、この宇宙で最も速いとされる「光」でさえも脱出できないほど重力が強い天体です。光では観測することができない”黒い穴”の周囲には、影響を受けた物質や捻じ曲げられた光など、不思議な形を描きます。
アメリカ航空宇宙局(NASA)のゴダード宇宙飛行センターは、これまでに紹介したブラックホールのイメージ画像や観測画像(全5枚)を壁紙としてダウンロードできるように、2022年5月4日付けで公開しました。
今回は、壁紙として公開されたブラックホール画像を紹介していきます。
連星ブラックホールの合体シミュレーション![【▲ブラックホールの合体のシミュレーション(Credit: NASA's Goddard Space Flight Center)】](https://sorae.info/wp-content/uploads/2022/06/SupermassiveBinaryBlackHoles.jpeg)
【▲ブラックホールの合体シミュレーション(Credit: NASA's Goddard Space Flight Center)】
この画像は、2つのブラックホールが合体に近づく様子をシミュレーションした動画の一部です。
連星ブラックホールとは、ブラックホールとブラックホールから成る連星系です。宇宙の数多くの銀河には、ブラックホールが潜んでいると指摘されていますが、この様な連星ブラックホールは、合体銀河や多重星系の中心で発生すると考えられ、多くは見つかっていません。
関連:連星ブラックホールの衝突と合体は、宇宙の果てを舞台にしたダンスのよう
歪んだ連星ブラックホール![【▲連星ブラックホールのシミュレーション(Credit: NASA’s Goddard Space Flight Center/Jeremy Schnittman and Brian P. Powell)】](https://sorae.info/wp-content/uploads/2022/06/DoublyWarpedBlackHole.jpeg)
【▲連星ブラックホールのシミュレーション(Credit: NASA’s Goddard Space Flight Center/Jeremy Schnittman and Brian P. Powell)】
連星ブラックホールが重なって見える位置関係になると…?
こちらの画像も、NASAによる連星ブラックホールのシミュレーション動画の一部です。それぞれのブラックホールを区別するため、降着円盤を青色とオレンジ色に分けて着色しています。青色は太陽の1億倍、オレンジ色は太陽の2億倍の重さとして設定されています。
手前のブラックホールの重力によって、奥のブラックホールの降着円盤から放射された光の進む向きが曲げられ、歪んだ姿に見えるのです。
関連:連星ブラックホールはどう見える? シミュレーション動画をNASAが公開
ブラックホールの降着円盤とコロナ![【X線源「MAXI J1820+070」(Credit: Aurore Simonnet and NASA’s Goddard Space Flight Center)】](https://sorae.info/wp-content/uploads/2022/06/BlackHoleDisk.jpeg)
【X線源「MAXI J1820+070」(Credit: Aurore Simonnet and NASA’s Goddard Space Flight Center)】
こちらは「へびつかい座」の方向およそ約1万光年先にあるX線源「MAXI J1820+070」の想像図です。MAXI J1820+070は、主星である恒星質量ブラックホールと伴星(太陽の半分ほどの重さの恒星)から成る連星と考えられています。
この画像では、伴星からブラックホールへガスが流れ、降着円盤を形成する様子や、高温プラズマのコロナ(ブラックホールコロナ)を描いています。
関連:クエーサーの強力ジェットを生み出すレシピに必要だった「ブラックホールコロナ」
天の川銀河の中心部分を多波長で![【▲天の川銀河の中心領域(Credit: X-Ray:NASA/CXC/UMass/D. Wang et al.; Radio:NRF/SARAO/MeerKAT)】](https://sorae.info/wp-content/uploads/2022/06/GalacticCenter.jpeg)
【▲天の川銀河の中心領域(Credit: X-Ray:NASA/CXC/UMass/D. Wang et al.; Radio:NRF/SARAO/MeerKAT)】
私達の住む天の川銀河の中心領域には、太陽質量の約400万倍のブラックホール「いて座A*(エースター)」が存在しています。その周囲には、アーク構造や、多数のフィラメント状の糸など、興味深い構造をしていますが、それらはあまりよくわかっていないものばかりです。
この画像は、南アフリカにある64台の電波望遠鏡「MeerKAT」のデータとチャンドラX線天文衛星のデータを合わせた天の川銀河中心部です。
関連:ミーアキャットが観測した天の川銀河。中心部を取り囲む未知の天体も捉える
ブラックホールジェット![【▲ヘルクレス座A(Credit: NASA, ESA, S. Baum and C. O'Dea (RIT), R. Perley and W. Cotton (NRAO/AUI/NSF), and the Hubble Heritage Team (STScI/AURA))】](https://sorae.info/wp-content/uploads/2022/06/HerculesA.jpeg)
【▲ヘルクレス座A(Credit: NASA, ESA, S. Baum and C. O'Dea (RIT), R. Perley and W. Cotton (NRAO/AUI/NSF), and the Hubble Heritage Team (STScI/AURA))】
この中心の天体は「ヘルクレス座A(Hercules A)」と呼ばれる約20億光年先の楕円銀河です。左右に伸びるダイナミックなジェットは、銀河の中心にあるとされる太陽の40億倍の重さの超大質量ブラックホールが放っていると考えられています。
この画像は、ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した銀河に、可視光では見ることのできない電波撮影のデータを合成したものです。
皆さんはどのブラックホールが印象的だったでしょうか。これらの画像は、パソコン用(1920x1080)とスマートフォン用(1080x1920)が公開されており、ファイルサイズは1枚につき2〜3MB程度となっています。
ブラックホール壁紙のダウンロード先:https://svs.gsfc.nasa.gov/14146
Source
NASA - Black Hole Desktop & Phone Wallpaperssorae編集部
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