「グッドバイ」と最後の別れに腕を振る惑星状星雲メンゼル2
sorae.jp / 2022年6月29日 21時0分
明るく輝く中心部に向かって曲がりくねった2本の渦巻き状の腕は、銀河を見ているように思わせるかもしれません。しかし、この画像に写っている天体は、私たちの天の川銀河の中にある「惑星状星雲」です。
惑星状星雲とは、1700年代に望遠鏡で見た星雲が巨大なガス状惑星に似ていたことから、このように呼ばれるようになりました。実際は、星の寿命が尽きる一歩手前の姿なのです。
この惑星状星雲は、「PK 329-02.2」と呼ばれ、南天の「じょうぎ座(定規座)」にあります。1922年にこの星雲を発見した天文学者ドナルド・メンゼル(Donald Howard Menzel、1901-1976)に因んで「メンゼル2」や「Mz 2」と呼ばれることがあります。
太陽ほどの質量を持つ恒星は、寿命が近づくと赤色巨星となりガス状の外層を放出します。ガス状の雲は、中心星が放出する紫外線によって照らされ輝きます。また、中心星から離れるにつれて、不規則で複雑な形状に変化していきます。この複雑さは、画像中央に見えるかすかなガスの散乱にも表れています。
しかし、PK 329-02.2 には美しい対称性があり、2本の明るい青い渦巻き状の腕が、星雲の中心にある2つの星と完全に一致しています。1999年、右上の星が星雲を作った中心星であり、左下の星は中心星の伴星であることが発見されました。
2つ星は何百万年、何十億年と互いの周りを回り続けますが、星雲と渦状の腕は中心から広がり、やがて数千年かけて消えていきます。PK 329-02.2の湾曲した構造は、白色矮星として最終段階を迎える前の、最後の別れのようです。
この画像はハッブル宇宙望遠鏡によって撮影され、2015年10月に「Waving goodbye」として「ESA/Hubble」に、2016年10月に「Hubble pictures planetary nebula with spiral arms」として「ESA」で紹介されました。
Source
Image Credit: ESA/Hubble & NASA ESA/Hubble, ESA文/吉田哲郎
この記事に関連するニュース
-
見事に横向き ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した“へび座”の渦巻銀河「UGC 10043」
sorae.jp / 2024年11月20日 20時52分
-
溶け合うような“かみのけ座”の相互作用銀河 ハッブル宇宙望遠鏡が撮影
sorae.jp / 2024年11月11日 21時13分
-
どこかに写っている超新星 ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した棒渦巻銀河「NGC 1672」
sorae.jp / 2024年11月6日 21時47分
-
ハッブル宇宙望遠鏡が撮影 2021年と2023年に超新星が見つかった渦巻銀河「NGC 4414」
sorae.jp / 2024年11月2日 18時41分
-
じーっと見つめる目のような相互作用銀河 ハロウィンにあわせNASAやESAが紹介
sorae.jp / 2024年11月1日 16時58分
ランキング
-
1全国で販売「カシューナッツ」に“鎮痛剤”混入…… 「深くお詫び」 3万5000袋回収、企業が謝罪
ねとらぼ / 2024年11月27日 8時0分
-
2知っておくと便利「つらい咳」を止めるツボと食材 漢方に詳しい薬剤師が紹介する咳止め漢方3種
東洋経済オンライン / 2024年11月27日 12時30分
-
3密室のコックピットで!? 戦闘機パイロット襲った「大トラブル」いまだ完全解決できない切実な課題とは
乗りものニュース / 2024年11月27日 7時42分
-
4斎藤元彦知事“火に油”の言い逃れ…知事選でのPR会社「400人分の仕事はボランティア」の怪しさ不自然さ
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月27日 10時46分
-
5とんでもない通帳残高に妻、絶句。家族のために生きてきた65歳元会社員が老後破産まっしぐら…遅くに授かった「ひとり娘」溺愛の果て
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月21日 8時45分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください