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巨大なブラックホールのペアを宿した“みずがめ座”の特異銀河。超大型望遠鏡が撮影

sorae.jp / 2022年8月18日 12時6分

【▲ 特異銀河「NGC 7727」(Credit: ESO)】

【▲ 特異銀河「NGC 7727」(Credit: ESO)】

こちらは「みずがめ座」の方向約8900万光年先にある銀河「NGC 7727」です。ループ状の「尾」のような構造が中心部分を取り巻く独特なその姿は、真っ暗な深海に生息する生物を思わせます。

この画像は、科学観測の合間に魅力的な天体の写真を撮影・公開するヨーロッパ南天天文台(ESO)の「Cosmic Gems(宇宙の宝石)」プログラムのもとで取得されました。ESOによると、NGC 7727は約10億年前に2つの銀河が合体することで誕生した銀河だと考えられています。尾のように長く伸びたループ状の構造は星とガスと塵でできていて、合体前の銀河どうしが重力相互作用した際に引きはがされたことで形成されたとみられています。

NGC 7727として生まれ変わった2つの銀河の合体は、まだ完了していないようです。NGC 7727の中心部分では、合体前の銀河が持っていた2つの銀河中心核が約1600光年離れた明るい光点のペアとして観測されています。中心核にはそれぞれ太陽の約1億5400万倍と約630万倍の質量がある2つの超大質量ブラックホールが存在していて、2億5000万年以内に合体して1つのブラックホールになると考えられています。

【▲ ヨーロッパ南天天文台「超大型望遠鏡(VLT)」の観測装置「MUSE」によって撮影された銀河「NGC 7727」の中心部分。1600光年の距離を隔てて輝く2つの明るい銀河核にはそれぞれ超大質量ブラックホールが存在するとみられている(Credit: ESO/Voggel et al.)】

【▲ ヨーロッパ南天天文台「超大型望遠鏡(VLT)」の観測装置「MUSE」によって撮影された銀河「NGC 7727」の中心部分。1600光年の距離を隔てて輝く2つの明るい銀河核にはそれぞれ超大質量ブラックホールが存在するとみられている(Credit: ESO/Voggel et al.)】

関連:地球から8900万光年先の銀河で超大質量ブラックホールのペアを発見か

冒頭の画像はESOが運営するチリのパラナル天文台にある「超大型望遠鏡(VLT)」の観測装置「FORS2」を使って取得された画像(3種類のフィルターを使用)をもとに作成されたもので、2022年8月16日付で公開されました。

なお、1966年に天文学者のホルトン・アープがまとめた特異銀河(特異な形態を持つ銀河)のカタログ「アープ・アトラス」では、NGC 7727は「Amorphous spiral arms(不定形の渦巻腕)」を持つ銀河のひとつ「Arp 222」として収録されています。

【▲ 特異銀河「NGC 7727」の中心部分にズームイン(動画)】
(Credit: ESO/L. Calçada ; N. Risinger (skysurvey.org); Digitized Sky Survey 2; VST ATLAS team; Voggel et al. Music: Azul Cobalto)

 

関連:大きく広がった躍動的な渦巻腕。超大型望遠鏡が撮影した“コップ座”の銀河

Source

Image Credit: ESO ESO - ESO telescope images a spectacular cosmic dance

文/松村武宏

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