NASAとスペースXが「ハッブル」宇宙望遠鏡の軌道高度上昇ミッション検討へ
sorae.jp / 2022年10月2日 10時11分
【▲ スペースシャトル「アトランティス」から撮影されたハッブル宇宙望遠鏡。2009年5月19日撮影(Credit: NASA)】
アメリカ航空宇宙局(NASA)は現地時間9月29日、「ハッブル」宇宙望遠鏡の軌道高度を上昇させるミッションの実現可能性を調査するための協定が、スペースXとの間で9月22日に結ばれたことを発表しました。
NASAによるとこのミッションは、スペースXが民間プロジェクトのポラリスプログラムと協同で提案しました。ポラリスプログラムは実業家のジャレド・アイザックマンさんが率いるプロジェクトで、スペースXの有人宇宙船「クルードラゴン」を用いた民間宇宙飛行ミッション「ポラリス・ドーン」の実施を2023年3月以降に計画しています。同ミッションでは民間初の船外活動などが行われる予定です。
![【▲ 民間宇宙飛行ミッション「ポラリス・ドーン」のイメージ画像(Credit: Polaris Project)】](https://sorae.info/wp-content/uploads/2022/09/Polaris-Dawn-FLj1P_aVcAMwjKJ.jpg)
【▲ 民間宇宙飛行ミッション「ポラリス・ドーン」のイメージ画像(Credit: Polaris Project)】
関連:スペースXの「クルードラゴン」で民間初の船外活動実施へ、宇宙飛行ミッション「ポラリス」発表
スペースXとポラリスプログラムはドラゴン宇宙船とハッブル宇宙望遠鏡の技術データを集め、安全なランデブーやドッキング、より高い軌道への移動といった技術的課題を検討します。調査には最大6か月かかると予想されています。
なお、今回結ばれた協定では、NASAによるサービスミッションの実施や資金提供、競合の機会などは計画されておらず、排他的な取り組みでもないとされています。NASAは、スペースXとポラリスプログラム以外の企業からも同様の調査が提案される可能性に言及しています。
![【▲ 国際宇宙ステーションに接近する有人宇宙船「クルードラゴン」エンデバー。2021年4月24日撮影(Credit: NASA)】](https://sorae.info/wp-content/uploads/2022/09/Crew-Dragon-approach-NASA-SpeceX-iss065e002261_0.jpg)
【▲ 国際宇宙ステーションに接近する有人宇宙船「クルードラゴン」エンデバー。2021年4月24日撮影(Credit: NASA)】
1990年4月に打ち上げられたハッブル宇宙望遠鏡は、地球低軌道を32年以上に渡って周回し続けています。スペースシャトル「ディスカバリー」から放出された時の高度は約615kmでしたが、地球低軌道では希薄な大気との抵抗によって高度が少しずつ下がるため、現在のハッブル宇宙望遠鏡は高度約540kmを飛行しています。
近い将来、ハッブル宇宙望遠鏡が大気圏に再突入することは避けられず、NASAはその時期を2030年代半ばから後半と予測しています。ただし、今よりも安定した高度まで上昇させることができれば、さらに数年長く運用できる可能性があるようです。また、NASAは運用を終えたハッブル宇宙望遠鏡を制御落下させるか、あるいはさらに高い高度へ上昇させて数十年間飛行させ続ける予定ですが、そのためには何らかの形でハッブル宇宙望遠鏡に推進力を提供しなければなりません。
![【▲ スペースシャトル「コロンビア」によるSTS-109ミッションでACSの取付作業を行う宇宙飛行士たち(Credit: NASA)】](https://sorae.info/wp-content/uploads/2022/03/STS109-ACS-installation-NASA.jpg)
【▲ スペースシャトル「コロンビア」によるSTS-109ミッションでACSの取付作業を行う宇宙飛行士たち(Credit: NASA)】
ハッブル宇宙望遠鏡は1993年から2009年にかけて、スペースシャトルによる5回のサービスミッションを受けています。現在も観測に用いられている「掃天観測用高性能カメラ(ACS)」や「広視野カメラ3(WFC3)」は、どちらもサービスミッションで搭載された装置です。しかし、2011年にスペースシャトルが退役してからは、ハッブル宇宙望遠鏡のサービスミッションを実施できなくなっていました。
関連:ハッブル宇宙望遠鏡のカメラ「ACS」取り付けられてから20年目を迎える
広大な貨物室やロボットアームを備えていたスペースシャトルと同じようなメンテナンスは行えないとしても、クルードラゴンによる軌道高度の上昇が可能と判断されれば、ハッブル宇宙望遠鏡の新たなサービスミッションが実現するかもしれません。
Source
Image Credit: NASA NASA - NASA, SpaceX to Study Hubble Telescope Reboost Possibility NASA - About - Facts | Hubble FAQs Polaris Program文/松村武宏
この記事に関連するニュース
-
クルードラゴンとスターライナー ISSで撮影された2つの有人宇宙船
sorae.jp / 2024年7月18日 21時10分
-
民間初の船外活動実施目指すミッション「ポラリス・ドーン」早ければ7月31日に打ち上げへ
sorae.jp / 2024年7月17日 11時14分
-
宇宙開発をリードするスペースX どこがスゴい!? 宇宙服もご紹介!
sorae.jp / 2024年7月14日 11時33分
-
「ファルコン9」ロケット2段目で異常発生 スターリンク衛星を予定通りの軌道に投入できず
sorae.jp / 2024年7月12日 20時7分
-
ボーイング新型宇宙船「スターライナー」地球帰還は6月26日以降の予定
sorae.jp / 2024年6月22日 11時16分
ランキング
-
1大谷翔平&真美子さんのレッドカーペット中継に… 人気アイドルが「思いっきり映ってる」と話題
Sirabee / 2024年7月18日 15時40分
-
2もうメンタルが崩壊しそう…最高月収60万円だった「65歳・元大手金融のサラリーマン」、定年後のハローワークで受けた屈辱
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月15日 7時15分
-
3バストの形まで変わる「ブラジャーのNG行為」5つ!あなたはいくつ当てはまる?
女子SPA! / 2024年7月20日 15時46分
-
4パスポート保有率17%の日本人に「海外旅行」は高嶺の花なのか? 空港関係者らに聞いてみた
オールアバウト / 2024年7月19日 21時0分
-
5「縁起の良い数字」のナンバープレートとは? “13種類”の人気番号ってなに? 「358」の気になる意味は?
くるまのニュース / 2024年7月19日 21時10分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)