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個人事業主の廃業に消費税がかかる理由とその対策を元国税の税理士が解説

相談LINE / 2020年3月12日 19時0分

個人事業主の廃業に消費税がかかる理由とその対策を元国税の税理士が解説

先日、個人事業主が廃業した際の消費税が課税漏れになっていると会計検査院が国税に指摘をしたというニュースがありました。消費税は取引に対して課税されるので、廃業の際何故消費税が課税されるのか、一見すると分かりません。課税される理由は、消費税において、資産を売却したとみなされる「みなし譲渡」という規定があるからです。

■個人事業主の転用

このみなし譲渡ですが、具体的には個人事業主が事業用資産を自分の生活用、すなわちプライベートに使った場合、その事業用資産を売却したとみなすとされています。法人と異なり個人事業主は、プライベートな側面がありますので、プライベートにも事業にも使われるような資産を持つことが多いです。事業用に使うとして購入した資産については、消費税の控除が認められていますから、仮にこのような制度がなければ消費税の控除だけが膨らむ可能性があります。このようなことのないように措置したのがみなし譲渡なのです。

■廃業との関係性

廃業するということは事業をやめることですから、廃業時点で所有している事業用資産があれば、それが全部プライベートなものになるということになります。冒頭の会計検査院はこれを問題にしている訳で、廃業のタイミングでみなし譲渡として全部消費税を課税するべきだ、と主張しているのです。

この点、法律は別にして、国税の実務ではあまり問題にしてはいませんでした。廃業して資金的な余裕がないのに消費税を取るのは酷ですし、何より個人事業主は貸借対照表のような財産目録も作らないことが多いため、廃業のタイミングで事業用資産がどのくらいあるかよく分からないからです。

しかし、消費税の増税が実現したこともありますので、今後は厳しく国税から指導される可能性がありそうです。

■二年間休業する

とは言え、消費税には原則として2年前の売上が1千万円以下であれば、消費税が免除されるという仕組みがあります。このため、現時点の法律を前提とすると、2年間休業してから廃業すれば、みなし譲渡の対象になっても消費税を納める必要はありません。

このため、今後は2年間休業した上で廃業することを心がけておく必要があります。

■専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。

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