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「個人なら取り敢えず期限内申告しておけば大丈夫」と謳う税理士には要注意

相談LINE / 2020年3月24日 19時0分

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とある自称税務調査の専門家が、税理士に薦めている申告として、取り敢えずの期限内申告と言われる申告があります。申告期限に遅れてしまうといろいろな不利益がありますので、取り敢えず適当な数字でも申告してしまえというのがこの取り敢えずの期限内申告ですが、それは法人税では明確な違法行為です。
というのも、法人税は確定した決算に基づいた申告が必要だからです。このため、このような申告をすると税理士法の懲戒の対象になりかねませんから、税理士は要注意です。

■個人なら違法ではない?

一方で、法人税とは異なり、個人の所得税は確定した決算に基づいて申告する必要はありません。このため、個人の所得税申告では取り敢えずの期限内申告をしてもいい。このようなことを指摘する専門家がいます。

とりわけ、個人の事業所得者については、複式簿記で記帳するなど所定の経理要件などを満たす場合、65万円という高額な控除(青色申告特別控除)が認められています。この青色申告特別控除は期限内申告が要件ですので、より取り敢えずの期限内申告が効果的であるという、解説をその専門家は行っています。

■真実と異なることを理解した上で行う申告は違法

当然のことながら、このような理屈は全くの誤りです。真実と異なることが分かっているのに、その異なる事実に基づいて申告するのは税理士法においては違法とされているからです。このため、いくら確定した決算に基づいた申告をする必要がない個人においても、このような申告をすることは許されないといえます。

何より、申告納税は税額や所得金額を「確定」させた上で行うべきものであり、「取り敢えず」行うものではありません。「確定」申告を行うとされていることからもそれは明白です。

■税法に対する安直な理解

このようなガセネタが流布するのは、国税職員があまり税法に詳しくないので、法律にのっとっていないことをしていても、実務としては大きな問題に発展することが多くないからです。結果として、法律に関係ない経験則で、税務を判断する専門家も多くいます。しかしながら、最終的には法律で決まる話ですので、法律に則ていないことをやることは原則許されないことに、注意が必要です。

■専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。

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