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東京都が実施する最大100万円支給の感染拡大防止協力金の課税関係

相談LINE / 2020年5月12日 14時54分

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コロナウイルスという未曽有の国難に対し、感染拡大防止の観点から飲食業などの業種に対し、休業の要請が出ています。これらの業種は、要請ではあるものの休業せざるを得ないことで売上が立たないことになり、固定費の負担などに苦しむことになります。このための補償として、東京都が支給するのが感染防止協力金です。感染拡大防止協力金は、一定の中小企業者のうち、休業要請をされているなど一定の施設を運営する者に対して認められるもので、最大100万円まで給付されます。

■課税関係は厳しい

感染拡大防止協力金は、休業のために発生する営業上の赤字を補填するためのものですので、当然のことながら法人税や所得税などは非課税にするのが当然です。しかし、東京都のホームページによると「国に対して非課税としていただけるよう要望しておりましたが、法令に則ると、所得税や法人税の計算上、収入金額や益金に加える必要がある」という回答を国からもらったようです。このため、苦労して協力金がもらえても、課税対象になるため、節税が別途必要になります。

■所得税法などの取扱い

ところで、上記の通り、「法令に則ると所得税や法人税の計算」で課税対象になる訳ですが、その具体的な根拠をもう少し見ていきましょう。所得税については、「心身又は資産に加えられた損害につき支払を受ける相当の見舞金」は原則として非課税とされていますが、その例外として、「業務の全部又は一部の休止、転換又は廃止その他の事由により~収益の補償として取得する補償金その他これに類するもの」が課税されるとされています。感染拡大防止協力金は、休業時の収益の補償として受けるものですので、これで課税されるということになると考えられます。

その一方で、法人税については所得税のような非課税の規定は原則として存在しません。このため、補助金や給付金もすべて課税対象になりますので、現行の制度を前提とすれば、感染拡大防止協力金も当然課税されるということになります。

■法律の解釈は別にして

この点、現行の法律を前提とすれば、国の指導は正しいということになりますが、このような国難ですので、本来このあたり柔軟に措置することが必要と考えられます。しかし、現状見直しはなされないと思いますので、適正申告に努めるよう注意してください。

■専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。

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