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令和二年度改正で創設された副業の新規定について税理士が解説

相談LINE / 2020年6月23日 19時0分

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近年、サラリーマンが副業を行うことが増えましたが、この副業は所得税では、原則として雑所得に該当します。所得税は、収入の性質に応じ、課税対象なる所得を10種類(利子所得、配当所得、不動産所得、給与所得、退職所得、事業所得、山林所得、譲渡所得、一時所得、雑所得)に分けた上、この10種類の所得それぞれに異なる計算を行うこととされています。雑所得はその一つで、収入から経費を差し引いて所得の金額を計算します。

■雑所得の特性

副業が雑所得になるのは、ビジネスに関する所得であるものの、それほど規模が大きくないからです。ビジネスであれば事業所得、という印象がありますが、事業所得はそれだけで食べていけるくらいの規模がある事業が該当します。会社を辞めてまで副業することはないはずですから、雑所得として課税されることになります。


■令和2年度改正で見直し

雑所得について、規模が小さいという点にご注目いただきたいのですが、規模が小さいのに資料の保存を厳格化したり、確定申告の手続きを複雑にしたりすれば、納税者に大変な負担が発生します。このため、現状の制度では、このあたり非常に簡便とされていました。

しかしながら、副業が一般的になるにつれて、このような簡便な処理を認めるのは税務調査的にはよろしくないとして、令和2年度改正により以下の規定が創設されることになりました。具体的には

・前々年分の副業などの雑所得の収入金額が300万円を超える個人は、現金預金取引等関係書類を起算日から5年間、その者の住所地又は居所地に保存しなければならない

・前々年分の副業などの雑所得の収入金額が1,000万円を超える個人が確定申告書を提出する場合には、その副業などに係る収支内訳書を、確定申告書に添付しなければならない

このような改正が行われます。


■資料の保存に注意

副業などで1千万円をこえる、ということは多くないかもしれませんが、300万円をこえることは多いと思いますので、現金預金取引等関係書類の保存には注意が必要です。

この現金預金取引等関係書類は、取引に関し受け取った書類及び自己作成の書類のうち、現金の収受若しくは払出し又は預貯金の預入若しくは引出しに際して作成されたものをいうこととされています。

いずれにせよ、従来はあまり厳しくなかった雑所得についても、資料の保存などが厳しくなりますので、再度処理を見直す必要がありそうです。


■専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。

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