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匿名組合の所得税や分配金の課税関係などを税理士が解説

相談LINE / 2020年7月31日 19時0分

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投資家が株式会社などの法人を使って事業を行う場合、法人に法人税が課税され、かつその法人が支払う配当についても原則として所得税の課税対象になります。この二重課税の問題があるため、事業内容によっては法人ではなく組合で事業を行う場合があります。組合は投資家が組合員として契約を結び、半ば共同で事業を行うような事業形態です。組合は法人格がありませんので、法人税はかかりません。
よく使われる組合の一つに、匿名組合があります。匿名組合は営業者と言われるビジネスを行う者と組合員が契約を結び、組合員がお金を出資する一方で、営業者がビジネスを行い、その利益を組合員に分配することになります。
組合で面白いのは、利益だけでなく損失も分配できるという点です。営業者がビジネスで損をだした場合、その損失についても組合員に分配されます。利益が出なければ分配できない会社の配当とは大きな違いがあります。

■匿名組合の分配金の課税関係

この場合に受ける分配金ですが、個人の組合員がそれを受ける場合、原則として雑所得として課税されることになります。雑所得ということは、損がでてもその損を他の所得と相殺することはできないということになります。このため、匿名組合により損失の分配を受けたとしても、個人ではあまりメリットはありません。

その他、非居住者に匿名組合の利益を分配する場合には、原則として所得税の源泉徴収が必要になります。


■匿名組合の出資を譲渡したら

加えて、匿名組合については、その匿名組合の出資を譲渡する場合の課税関係も問題になります。これについて、税法や国税の通達では明確ではないものの、譲渡所得に該当するとした裁決事例があります。

この裁決事例では、譲渡所得でも他の所得と区分して課税される分離課税の譲渡所得ではなく、他の所得と合算できる総合課税の譲渡所得に該当すると判断されています。このため、他の所得と合算されて、累進課税により高い税率で課税されるデメリットがある反面、出資を譲渡したことによる損失は他の所得と相殺して節税できるメリットもあります。

その他、匿名組合の出資を有する居住者が国外転出した場合、その時価が1億円以上のようなときは、原則として出国税が課税されます。このため、国外に住所を移すような場合には、要注意です。

■専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。



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