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賃借人のいる収益物件を売買する場合の敷金の精算と消費税について

相談LINE / 2020年8月12日 19時0分

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賃借人のいる収益物件を売買する場合、その賃借人からもらっている敷金について、売主(=現在の貸主)と買主(=今後の貸主)の間で、どのように精算を行うべきか問題になります。物件を貸す側からすれば、敷金は賃借人に返すべき借金でもありますので、買主はその債務を引き継ぐことになるため、当然のことながら売却代金に影響を与えます。
この敷金の返還債務については、大阪などでよく見られる関西方式と、東京などでよく見られる関東方式という二つの精算方式があります。

■関西方式と関東方式

具体例として、収益物件の売買価格が2億、売主が預かっている敷金を2千万円とします。この場合、関東方式であれば、売主と買主でやり取りする金額は1.8億円となります。買主が負担するべき売買代金の2億円から、売主から引き継ぐ敷金の返済義務である2千万円をマイナスし、清算することになります。

一方で、関西方式は上記のケースで、2.2億円でお金をやり取りします。2億円の売買代金に加え、今後賃借人が退去した場合の責任は売主が従来通り負うこととして、その債務に相当する2千万円を上乗せで支払うことになります。売主としては、2千万円現金はふえるものの、2千万円の借金は残ったままですから、特に利益はありません。

■税務上の取扱いはどうなる?

税務上、関西方式と関東方式では、収益物件の取得価額や消費税に大きな違いが生じます。建物の減価償却の計算で必要になる、収益物件の取得価額については、関東方式は買主が支払った1.8億円に、引き継ぐ敷金の債務2千万円を加算した2億円となります。すなわち、敷金を清算する前の売買代金をベースに計算することになります。

一方で、関西方式は、支払った2.2億円がベースになります。取得価額は、支払った現金だけでなく、引き継いだ債務も含めた買主が負担した金額を基礎に計算されるのが原則ですので、このような相違が生じるのです。

この点、消費税の計算も同様で、不動産投資をした場合に計算される消費税の経費の金額は、関東方式が2億円、関西方式は2.2億円が基準になります。

■土地付き物件は合理的な区分が必要

消費税の注意点として、土地付きの収益物件を購入した場合、土地は消費税がかかりませんので、その部分は消費税の対象になりません。原則、契約書で土地と建物の金額を区分していればその区分でいいですが、そうでない場合は時価などで合理的に区分する必要があります。

関西方式でも関東方式でも、合理的に区分する必要があることは同様ですので、注意してください。

■専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。

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