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サブリーススキームのメリットやリスク、今後の動向を税理士が解説

相談LINE / 2020年9月1日 19時0分

サブリーススキームのメリットやリスク、今後の動向を税理士が解説

税務上、住宅の貸付けは消費税の非課税取引とされていますので、居住用賃貸マンションの賃料についても、消費税は非課税とされます。このため、居住用賃貸マンションを貸す大家の売上は、消費税の非課税売上とされますが、ここで問題になるのは、非課税売上に対応する支出については、消費税の控除が認められないということです。
結果として、居住用の賃貸マンションを建てても消費税が払い損になることがほとんどだったのですが、払い損にならない裏技として、巷で言われていたスキームの一つにサブリーススキームと言われるスキームがありました。

■サブリーススキームとは

サブリーススキームとは、不動産オーナーが同族会社を設立した上で、その同族会社を経由して居住用マンションをサブリースして貸すスキームを言います。このスキームが裏技になるのは、従来、住宅の貸付けが消費税の非課税になる条件として、契約上住宅の貸付けとして貸すことが明らかにされていることがその要件とされていたからです。

すなわち、入居者との契約は、リスクヘッジのため用途を居住用と明記せざるを得ないため操作できないものの、サブリースで間に入る同族会社への貸付けは、大家の都合でどのような契約でも問題ありませんから、敢えて居住用と明記せずに契約する、といった対応もできます。

そうなると、入居者と同族会社の賃借は非課税、一方でオーナーと同族会社の取引は課税となり、後者は課税取引となって消費税の控除も認められる、という結論になるのです。


■スキームのリスク

不動産投資家に対してセミナーを行うことも多いため、このスキームの妥当性についてよく質問を受けていましたが、すべからく問題があると指導してきました。この理由は、「契約上住宅の貸付けとして貸すことが明らかにされている」ことが要件であり、「契約「書」上明らかにされている」ことは要件ではないからです。契約は契約書がなくても合意するだけで成立しますので、契約書に書いていなくとも、サブリースする同族会社との間で、居住用として転貸することに合意していれば、この要件を満たすことになります。

実際のところ、先日の裁決で、このセブリーススキームは否認されており、やはり無理があるスキームであったと結論付けられます。

■今後の動向として

いずれにせよ、先の取扱いは令和2年度改正で見直され、令和2年4月1日以降、一切サブリーススキームは認められないことが法令で明記されています。

加えて、居住用賃貸マンションについては、一切消費税の控除が認められないという条文もできていますので、注意してください。

■専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。



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