「和解型の特別清算は貸倒損失が認められる」は本当か?判例交えて元国税が解説!

相談LINE / 2020年10月16日 19時0分

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前回、債務者である会社が通常清算をした場合、寄附金課税のリスクがあると解説しました。今回はこの寄附金課税について、解説します。
一般的に、寄附金とは「対価性のない支出」を意味すると言われます。対価性がない、すなわち自分に見返りのない支出をしても、それは経費とは言えないという考え方から、税務上寄附金については経費性が制限されています。
この寄附金の代表例に債権放棄があります。債権を放棄しても自社に明確な見返りはないことから、債権放棄は原則として寄附金に当たるとされているのです。


■会社が清算等した場合

この取扱いは、会社が清算するため債権を免除せざるを得ない場合も同様になります。ただし、その例外として、国税庁の通達に債権放棄等をしないともっと自社にデメリットが生じてしまうような場合には、寄附金とはせずに貸倒損失を認めるとされています。ごく簡単に言えば、債権放棄に経済的な合理性があるような場合には、原則として貸倒損失が認められるということです。

とはいえ、このような判断は非常に困難です。このため、通常清算しても国税に否認される恐れがあり、敢えて国税の通達で問題ないとされている特別清算を使っているのです。

■個別型が否認された事例がある

ただし、 前回も述べましたが、あくまでも国税の通達に明記されているのは「協定型」の特別清算であり、実務で多い「和解型」の特別清算は協定型を準用できると解釈されているに過ぎません。このため、和解型であれば、国税から問題視されるリスクはゼロではないのです。

実際のところ、第二会社方式により、和解型の特別清算をした会社に対する貸倒損失が否認された事例があります。この事例は裁判になったのですが、裁判でも貸倒損失を認めなかった国税の処理を合法としています。この裁判においては、通達上貸倒損失は協定型に限定されており、和解型を準用することはできないと判断した上で、協定型であれば多数の債権者が交渉するため合理的な債権放棄と認められるものの、和解型では個別の交渉のため合理性に欠けるため、貸倒損失は認められないと判断されています。

■今後の対応

専門家によっては、和解型の特別清算であればほぼ無条件に貸倒損失が認められると解説しますが、上記のような裁判例もありますので、和解型の特別清算による貸倒損失を検討する場合には、顧問税理士などと相談しながら、慎重に対応する必要があります。

■専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ 税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。

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