連結納税制度あらためグループ通算制度は何がどう変わったか

相談LINE / 2020年11月17日 19時0分

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令和2年度改正においては、連結納税制度が改組され、グループ通算制度という制度に切り替わりました。従来、連結納税制度が非常に複雑だったこともあり、それを簡便にしてほしいという国税の依頼もあって、仕組みが簡単になっています。
ただし、簡単になった反面、この制度は連結納税制度のメリットを大きく減少させています。

■親法人の欠損金

連結納税制度の大きなメリットとは、連結親法人の欠損金にあるといわれています。連結の頂点にいる法人を連結親法人と言いますが、その連結親法人は、連結をスタートする前の欠損金(過去の赤字)を連結納税に持ち込むことができました。他の法人は、連結納税に入る前に、原則として欠損金を切り捨てる必要があります。

結果として、親法人に使いきれないくらい多額の欠損金があれば、その欠損金を連結納税に持ち込むことで大きな節税になる場合があります。というのも、連結納税はグループ全体の所得に対して課税されるため、他の連結法人の所得と、連結親法人の欠損金を相殺することが出来るからです。

■グループ通算制度は

しかし、グループ通算制度はこの取扱いが見直され、親法人の欠損金の持込みに大きな制限がかかります。具体的には、持ち込むことはいいものの、持ち込んだ欠損金を他の法人のために使うことができず、親法人の所得とだけ相殺できるという仕組みに変わります。このため、節税効果が大きく下がると見込まれます。

■軽減税率などにも制限が

その他、法人税においては中小法人に対してさまざまな優遇措置があります。連結納税においては、中小法人に該当するかの判断は原則連結親法人の資本金などによっていましたので、連結親法人が中小法人で他の連結法人が大法人といった場合にも、中小法人の特例を使うことができ、節税が出来ました。

しかし、グループ通算制度はこの制度に参加するすべての法人が中小法人でないと、中小法人の特例を原則として使えないとしています。

■税収増加が見込まれている

実際のところ、グループ通算制度については、連結納税に比して、平年ベースで税収の増加が見込まれています。国としても、この制度が節税に役立たないことは理解しているようです。

グループ通算制度は令和4年4月1日以後の事業年度から適用されますが、適用は慎重にするべきと考えられます。


■専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在の専門は元国税調査官の税理士として税務調査のピンチヒッターと税務訴訟の補佐。税法に関する著書、講演、取材実績多数。 税務調査対策術を無料で公開中。

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