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2020年の年末調整の注意点を元国税の税理士が解説(後編)

相談LINE / 2020年12月23日 19時0分

2020年の年末調整の注意点を元国税の税理士が解説(後編)

2020年の年末調整には注意点が大きいのですが、中でも大きなインパクトがあるものと言われるのが、年末調整の電子化です。これは、従来から年末調整は紙で行われることが通例でしたが、それは非効率ですので、事務負担の軽減などを目的に、電子データで年末調整関係書類を提供できるようにしたものです。(前編はこちら)

■年末調整の電子化で対象となる書類

対象になる年末調整関係書類については、従業員が作成する扶養控除等申告書や配偶者控除等申告書(年末調整申告書)だけでなく、保険会社などから交付される保険料控除の証明書や、住宅ローン控除の残高証明書も対象になります。とりわけ、後者については、保険会社からハガキなどで送られますので紛失することも多く、その場合には再交付を受けるなど非常に大きな手間がかかっていましたから、非常に有効な取扱いになると考えられます。

■具体的な提供方法

具体的な提供方法ですが、年末調整申告書については、あらかじめ、給与の支払者において税務署に対する申請が必要になります。この申請は、提出した月の翌月末日に承認があったとみなされますので、原則として適用しようとする月の前月中に提出する必要があります。

この承認を受けた上で、従業員本人から提出されたことが確認できる、一定の方法で年末調整申告書に係る電子データを支払者に提供することになります。

■保険料控除等の提供方法

次に、保険料控除等の提供方法ですが、まず従業員に控除証明書の電子データを取得してもらう必要があります。この取得方法は、マイナポータルを使う方法と、保険会社等のホームページなどから取得する方法の二つがあります。

マイナポータルを活用すると、複数の控除証明書を一括して取得できます。反面、マイナンバーカードを取得したり、マイナポータルを開設したりする処理が必要になります。

一方で、保険会社等のホームページから取得する場合には、各保険会社等からそれぞれ取得する必要があり、かつ取得方法も保険会社等ごとに異なります。

■支払者には大きなメリット

上記の電子データの提供を受けた支払者は、そのデータを自社の給与システム等にインポートすれば、それで手続きが終わりますので検算などの手間もかからず事務の削減を図ることができます。

加えて、従業員から提供された年末調整申告書については、支払者において保存が必要ですが、データ保存になればそのコストも大きく削減できます。

■専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在の専門は元国税調査官の税理士として税務調査のピンチヒッターと税務訴訟の補佐。税法に関する著書、講演、取材実績多数。税務調査対策術を無料で公開中。

※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。

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