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相続税だけでなく譲渡所得税の対象にもなる換価分割の注意点

相談LINE / 2021年1月7日 19時0分

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相続が発生すると、被相続人の財産を各相続人に分割する必要がある訳ですが、その分割の方法には3つあります。具体的には現物分割と代償分割、換価分割の3つです。

■3種類の遺産分割

1つ目の現物分割は、被相続人の個別の財産をそれぞれ各相続人に分割するものです。

次に、代償分割という分割があります。これは被相続人の持家に同居していた相続人などがよく使う方法です。例えば、その持家の価値が高い場合、現物分割すると、その同居人はその持家の全部を取得することが出来ず、結果としてその持家に住み続けることが難しくなります。こうならないよう、現物はその相続人が取得するものの、相続人が持っている他の財産を売却するなどしてお金を他の相続人に渡すことで、他の相続人の権利を侵害しないようにする。これが代償分割です。

最後に、換価分割という分割があります。換価分割とは、被相続人のある財産について、現物ではほしくないがお金は欲しい、といった場合に使われます。このような場合、その財産を共同で売却して、売却代金を相続人で分割することになります。

■換価分割と譲渡所得

遺産分割は相続税の計算で問題になりますが、これらのうち換価分割については、譲渡所得税の対象にもなりますので注意が必要です。換価分割は相続財産を換価してお金を相続人に分配する分割ですから、分割が未済のため共有している相続財産の一部を、譲渡するということになるからです。

この場合に問題になるのは、換価分割による譲渡所得として、各相続人が申告する金額です。これについては、(1)換価時に換価代金の取得割合が確定している場合と、(2)確定しておらず後日分割される場合の二つがあり、それぞれ金額が異なります。

■換価時に取得割合が確定している場合

この場合は、大別して法定相続分に応じて換価代金を取得するケースと、換価時までに換価代金の取得割合を決めているケースの二つがあります。前者は法定相続分に応じて譲渡所得の申告をし、後者は換価代金の取得割合に応じて申告することになります。


■後日分割される場合

後日分割される場合には、換価した時点においては換価代金の取得割合が決定していないため、法定相続分に応じて申告をすることが原則となります。譲渡所得は資産を引渡した時に課税されますから、後日分割されたとしても、引渡しの現状で判断するのが大前提になるからです。

ただし、特例として、所得税の申告期限までに換価代金が分割され、共同相続人の全員が換価代金の取得割合に基づき譲渡所得の申告をした場合には、それが認められるとされています。


■専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在の専門は元国税調査官の税理士として税務調査のピンチヒッターと税務訴訟の補佐。税法に関する著書、講演、取材実績多数。税務調査対策術を無料で公開中。

※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。

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