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非居住者等や外国法人に対する機械等の賃借料の取扱いを税理士が解説

相談LINE / 2021年1月28日 19時0分

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非居住者や外国法人と取引をして、彼らにお金を払う場合、源泉徴収の必要性を考える必要があります。源泉徴収の対象になるのは、一定の利子や配当、ロイヤリティーなどです。これらの所得については、非居住者や外国法人に対して日本の所得税や法人税の納税義務が発生しますが、源泉徴収しておかないと申告しない場合が想定されますので、予め源泉徴収をすることとされているのです。

■事業所得は例外

その一方、事業所得については例外です。事業所得については、それが日本に源泉があるもので、非居住者や外国法人に対して日本の税金が課税されるとしても、源泉徴収の対象にはなりません。

具体的に、源泉徴収が必要になる支払かどうかは、日本の所得税法だけではなく、その支払先である非居住者や外国法人の所在地国との租税条約を検討する必要があります。租税条約を締結している国であれば、その条約が優先されますので、必ず検討が必要です。

なお、租税条約を結んでいない国であれば、日本の所得税法の取扱いだけで判断することになります。


■機械等の賃借料

実務上、よく源泉のルールを忘れてしまうものの一つに、機械等の賃借料があります。日本の所得税法においては、非居住者や外国法人に支払うこれらの賃借料のうち、日本の業務に関係するものであれば、源泉徴収が必要になります。これらの賃借料は、日本の所得税法では、ロイヤリティーの一つとして取り扱われているからです。

一方で、アメリカやイギリスなど、多くの租税条約の締結国では、このような機械等の賃借料はロイヤリティーの範囲から除いており、事業所得に該当するとしています。上記の通り、事業所得であれば、源泉徴収の対象にはなりませんので、これらの国々の非居住者や外国法人への支払いであれば、源泉徴収は不要となります。


■所得税法と同じ取扱いの国がある

しかし、世界は広いもので、日本の所得税法と同様、機械等の賃借料をロイヤリティーに含めている国があります。典型例としては、エジプトやシンガポールが挙げられます。これらの国や、租税条約を結んでいない国に所在する非居住者や外国法人に対して、これらの賃借料を支払う場合には、源泉徴収が必要になります。

多くの国との租税条約は源泉不要となっていますので、誤りが多いところですから注意が必要です。

■専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在の専門は元国税調査官の税理士として税務調査のピンチヒッターと税務訴訟の補佐。税法に関する著書、講演、取材実績多数。税務調査対策術を無料で公開中。

※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。

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