【YouTuber必見】動画の制作や編集費用の経費性を税理士が解説
相談LINE / 2021年2月25日 19時0分
ユーチューバーが人気の職業になっていることもあり、ユーチューブなど動画投稿に係る経費について問題になることが多くなりました。税務の考え方として、動画のように長期にわたって使えるものについては、その効果が及ぶ期間にわたり経費とすべき、という考えがあります。このため、ユーチューブに投稿する動画に係る経費についても、一時ではなく数年にわたり経費にするべきか。このような疑問が生じます。
■基本は広告宣伝費
この点、国税から明確に出された見解はありませんが、税務雑誌の記事などを見ると、基本的に動画作成費用については、広告宣伝費として一括で処理できると解説されています。この理由として、PR用の映画フィルムについては、固定資産である器具備品とされます。しかし、投稿する動画はフィルムとは異なりデータですので、資産とは言えないからです。
加えて、少し話は変わりますが、ホームページ作成費用に関し、国税庁は以下のような見解を提示しています。すなわち、ECサイトのようにプログラミングされたシステム部分の制作費用はソフトウエアとして5年で減価償却するべきであるものの、それ以外の部分はホームページの更新スパンが長期ではないことから、一時の経費で問題ないと国税庁は解説しています。この解説を踏まえれば、投稿する動画にはソフトウエア部分はないと考えられますので、一時の経費で問題ないと考えられます。
その他、これら以外にも、一時の経費とされる理屈があります。それは、社歌の取扱いです。ビジネスにおいて動画を活用する場合、自社商品や自社のPRに使うことが多くありますが、この自社のPRという点について、国税庁の通達には社歌の取扱いが定められており、社歌の制作費用は明確に一時の経費と規定されています。これを準用して、動画作成費用も一時の経費でいいのではないか。このように言われます。
■今後の動向には要注意
とはいえ、国税は明確な見解を出していませんので、今後どうなるか不明確な部分も実は多くあります。税務雑誌の記事によっては、動画は一回アップロードしてしまえばほぼ永遠に使えるものですので、さすがに一括で経費とするのはまずい、といった解説も見られます。
加えて、動画投稿は自社PRだけでなく、ユーチューバーのように、広告収入目当てで行うこともあります。この場合の取扱いも、上記と同じでいいのか疑問がない訳ではありません。
いずれにせよ、原則として一時の経費で問題ないはずですが、今後の動向に注意しながら、慎重に処理してください。
■専門家プロフィール
元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在の専門は元国税調査官の税理士として税務調査のピンチヒッターと税務訴訟の補佐。税法に関する著書、講演、取材実績多数。税務調査対策術を無料で公開中。
※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。
この記事に関連するニュース
-
「YouTubeで使えば経費にできる」は本当か?税理士YouTuberが教える経費に「できる」と「できない」の境界線
プレジデントオンライン / 2024年4月24日 8時15分
-
知人の父がタンス預金「500万円」を達成したそうですが、「税金の申告」はしていないそうです。これってアリですか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年4月19日 10時30分
-
税務調査官「追徴課税1,200万円です」…54歳・サラリーマン夫を亡くした51歳・専業主婦妻への“無情な追い打ち”【税理士が解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年4月9日 11時30分
-
たくさん納税してやっているだろう→1,000万円の追徴課税…税務調査官を“本気にさせた”60歳男性のNG対応【税理士が警告】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年3月31日 11時15分
-
手つかずで遺された、女手一つで育ててくれた80代母への仕送り“総額2,000万円”。50代娘、涙も…税務調査官「追徴課税です」→「なんで?悔しい!」【指摘されない方法を税理士が助言】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年3月26日 11時45分
ランキング
-
1「大事な大事な退職金2,000万円が“NISA”でみるみる溶けた。」年金月20万円の65歳元サラリーマン、老後計画崩壊で大後悔…「もう、生きていけない」【FPの助言】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年4月24日 11時45分
-
2わずか2年半で消えた「幻のJR新型特急」とは 裏目に出た高性能
乗りものニュース / 2024年4月24日 9時42分
-
3「配属ガチャ」対策を進める企業が、一度立ち止まって考えるべきコト
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年4月24日 8時15分
-
4「東大理3受かった子」に共通する"意外な性格" 日本イチ頭いい子供たちはどう勉強している?
東洋経済オンライン / 2024年4月24日 5時40分
-
5「世界の猫を喜ばす」会社は、なぜ日本中の嫌われ者となったのか…いなば食品の炎上が止まらない根本原因
プレジデントオンライン / 2024年4月24日 9時15分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください