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令和2年分の申告から大きな変更となった青色申告特別控除を税理士が解説

相談LINE / 2021年3月18日 19時0分

令和2年分の申告から大きな変更となった青色申告特別控除を税理士が解説

令和2年分の申告から、青色申告特別控除が大きく変わります。青色申告特別控除とは、適正に帳簿を付ける納税者に認められる青色申告の特典の一つで、一定の要件を満たす青色申告については、事業所得や不動産所得から最大65万円の控除を認めるというものです。

■65万円の控除が認められるための要件とは

詳細に申し上げると、青色申告特別控除は通常10万円の控除ですが、以下の要件を満たす場合、令和1年分の申告まではそれが65万円に増額されます。

1 不動産所得又は事業所得を生ずべき「事業」を営んでいること。
あまり意識されませんが、所得税は生活の糧を得るための営業規模である「事業」と、そこまでいかない副業的な規模である「業務」を分けて考えています。このため、「事業」と言えるだけの規模がないと、この増額は受けられません。

2 取引を複式簿記により記帳していること
後述する通り、企業の財務状況を把握する貸借対照表が本制度には必要になりますが、そのためには複式簿記による記帳が必要になります。

3 貸借対照表及び損益計算書を確定申告書に添付すること
通常の申告であれば、決算書として損益計算書のようなものだけ添付すれば問題ないですが、増額を受ける場合には、貸借対照表も作成して添付する必要があります。

4 この控除の適用を受ける金額を記載して、申告期限内に提出すること。
期限内申告が要件ですので、期限に遅れてしまうと適用はありません。

令和2年分からは、上記の4つの要件を満たした場合、65万円ではなく、55万円までの増額となります。とはいえ、65万円控除がなくなった訳ではなく、新しい要件が追加されます。


■改正された65万円控除の要件

65万円の青色申告特別控除を受けるためには、上記に加え、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。

(1) その年分の事業の帳簿について、電子帳簿保存を行っていること。
(2)所得税の確定申告書、貸借対照表及び損益計算書等の提出を、提出期限内に電子申告で行うこと

令和3年度改正で電子帳簿保存は要件緩和されましたが、現行は電子帳簿保存は承認制ですので、上記(1)の要件を満たす方は多くありません。このため、やるなら上記(2)の電子申告が重要になります。

ただし、国税が行っている相談会場の電子申告ではこれに該当しないとされています。このため、マイナンバーカードなどを取得して自身でインターネットを経由して電子申告するか、若しくは税理士に依頼して電子申告してもらう必要があります。

■専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。

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