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使用貸借の土地の評価と貸家建付地について元国税の税理士が解説

相談LINE / 2021年5月20日 19時0分

使用貸借の土地の評価と貸家建付地について元国税の税理士が解説

土地に係る相続税の財産評価においては、それを他人に貸さずに自分で使う場合(自用地)の評価が一番高くなり、借地権を設定してそれを貸す場合(貸宅地)や、自分でアパートを建てて貸す場合(貸家建付地)は、自分の使用が制限されるということから評価が小さくなります。

ただし、他人貸すとは言っても、例えばそれが親族に対するものであれば、敢えて地代を取らずタダで貸すことも多くあります。このような貸付けを使用貸借といいます。使用貸借で土地を貸す場合、その評価は自用地と同じ金額になるとされます。

■自用地になる理由

使用貸借の土地の評価が自用地になるのは、使用貸借はタダで貸すため、法律上借主の権利が弱いからです。例えば、借主は用法遵守義務を負うとともに、第三者に使用・収益させない義務を負うなどとされ、これらの規定に違反した場合、貸主は契約の解除をすることができることとされます。

一方で、土地を有償で貸す借地権契約や、アパートを貸す賃貸借契約においては、借主権利が強く保証されています。このため、貸主の権利が制限されることから、上記のように評価額も小さくされるのです。

それとは逆で、使用貸借については貸主の権利の制限がないとされ、結果として自用地と同じ評価になるのです。

■貸家建付け地の場合の例外

しかし、その例外として、貸家建付け地の取扱いが挙げられます。

アパートを建てて貸す貸家建付け地について、土地の所有権は動かさず、アパートだけを子供に贈与し、土地は使用貸借で子供に貸す、といったことが実務では見られます。この場合、土地は使用貸借ですので原則的な考え方からすれば自用地評価になるはずですが、貸家建付け地での評価が可能な場合があります。

具体的には、すでに入居者がいるアパートについて、建物だけ贈与するような場合です。この場合、入居者はすでにいますから貸主の土地に対する権限は制限されています。建物だけ贈与しても、その権利の制限は入居者がいる場合には継続しますので、純然たる使用貸借とは異な入居者に対する権利の制限が土地には発生することになります。

この点を踏まえ、すでに入居者がいるような貸家建付け地でその建物を贈与して使用貸借する場合には、貸家建付け地評価ができるとされます。

■専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。

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