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中古資産の耐用年数を見積もる上での注意点を元国税の税理士が解説

相談LINE / 2021年5月27日 19時0分

中古資産の耐用年数を見積もる上での注意点を元国税の税理士が解説

車や建物などの固定資産を購入した場合、その購入金額は一度に経費とすることはできず、有効と認められる年数に応じて所定の費用を経費とする減価償却の計算が必要になります。ここでいう有効と認められる年数を法定耐用年数といい、「法定」というくらいですから法律で資産の種類や構造・用途などに応じて具体的な年数が決まっています。
一方で、この法定耐用年数は新品の固定資産を前提に決められています。このため、中古の固定資産を購入した場合には、原則として使える期間を合理的に見積もるなどして、耐用年数を計算することができるとされています。

■中古資産には耐用年数の特例がある

しかし、合理的に見積もるといっても、その見積もりは極めて困難ですから、実務でこのような見積もりを行うことはほとんどありません。というのも、より簡便的に中古資産の耐用年数を計算できる簡便法と言われる方法が認められているからです。

簡便法の場合、耐用年数は以下とされます。

(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×20%

■事後的な適用は認められない

ところで、この中古資産の耐用年数の適用については、注意点が二つほどあります。一つは、その見積もりは中古資産を取得した取得年度で行う必要があるということです。

中古資産の耐用年数は、上記の通り簡便法を使うなどして法定耐用年数よりも短くすることができますが、それはあくまでも耐用年数を計算「できる」とされ、簡便法などで耐用年数を計算「しなければならない」こととはされていません。このため、仮に取得した年度でこれらの計算をしなければ、新品と同じ法定耐用年数で計算することを選択した、と判断されることになります。

結果として、後日法定耐用年数が長いので不利になるため修正したい、といってもそれはできませんから、取得年度で必ず適用を受けることとしてください。

■その逆も認められない

一方で、簡便法の年数で減価償却を行うこととした場合、その後の年度でそれを見直して法定耐用年数に変更する、といった上記の逆の処理も認められません。とりわけ、法人ではなく個人の場合には、毎期強制的に減価償却を行う必要がありますので、償却費を少なくする、といったこともできませんから注意してください。

■専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。

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