店内飲食・テイクアウト・デリバリーでそれぞれ異なる簡易課税の事業区分
相談LINE / 2021年6月24日 19時0分
消費税の計算では、売上に対する消費税から経費に対する消費税を控除して計算する方法に代えて、簡易課税制度と言われる制度を選択することが出来る場合があります。簡易課税制度は、売上に対する消費税に、その売上に係る事業に応じ、以下の割合を乗じて計算した金額を経費に対する消費税とみなして計算する制度です。
■簡易課税制度の事業区分
第1種事業 卸売業・・・90%
第2種事業 小売業・・・80%
第3種事業 建設業や製造業など・・・70%
第4種事業 第1~3種事業と、第5~6種事業以外の事業(飲食業など)・・・60%
第5種事業 サービス業など・・・50%
第6種事業 不動産業・・・40%
いわば、簡易課税制度は概算経費で消費税を計算する仕組みであり、場合によっては、通常の計算よりも有利になる場合もあります。
■事業区分が難しい
簡易課税の計算では、上記の通り事業区分によって割合が変わりますから、事業区分の判定が問題になります。この判定は非常に難しく、税理士などのプロでも間違えることがあります。
この複雑さの典型として、軽減税率でも問題になった、ハンバーガーショップのテイクアウトと店内飲食が挙げられます。結論から申し上げますと、テイクアウトは第3種事業、店内飲食は第4種事業に該当します。同じ飲食業のような気がしますが、簡易課税の飲食業は店内飲食などの飲食サービスを意味し、店内サービスのないテイクアウトは、材料からハンバーガーという製品を作る製造業に当たる、といった考え方をするのです。
■出前はまた違う
上記のような話をしますと、軽減税率と同じような区分をする、と思われた方も多いと思います。軽減税率制度においては、ハンバーガーのテイクアウトは生活必需品である食品の購入なので8%、店内飲食は飲食サービスであり、生活必需品とは言えないので10%、といった考え方をします。考え方は簡易課税とは異なりますが、飲食サービスが不利になる、という区分は変わりません。
しかし、簡易課税と軽減税率で区分が異なるものがあるので更に混乱します。それは、ピザのデリバリーなどの出前です。簡易課税は出前について、飲食サービスとして第4種事業に該当するとしています。反面、軽減税率の取扱いは、ケータリングは別にして、出前は食品の配達なので軽減税率で問題ないとされています。
このように、区分が混乱する内容になっていますので、注意が必要です。
■専門家プロフィール
元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。
※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。
この記事に関連するニュース
-
【最高税率50%】最も重いペナルティ「重加算税」の対象になる…“ただの申告ミス”ならやってはいけない「税務調査での対応」【税理士が解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月13日 8時15分
-
コンビニでおにぎりを買って「イートインスペース」で食べる場合、消費税は8%と10%どっち?軽減税率について解説
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月13日 2時0分
-
一般的な税務調査は「任意調査」だが…“任意”と言いつつ「拒否すれば罰則」となる驚愕の根拠【税理士が解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月7日 11時15分
-
税務署に絶対バレる「過少申告」の末路…申告納税額500万円を「300万円」と偽った場合の“追徴税額”【税理士が解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月4日 12時10分
-
友人が「テイクアウト」で注文した商品を「イートインスペース」で食べています。「消費税が2%浮く」と言っていますが、これって犯罪にならないんでしょうか…?
ファイナンシャルフィールド / 2024年6月29日 4時30分
ランキング
-
1「土用の丑の日」物価高でも…あの手この手の“うなぎ商戦” 大手スーパーの目玉は「超特大」
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年7月22日 19時59分
-
2イタリア人が営む「老舗ラーメン店」の人生ドラマ 西武柳沢「一八亭」ジャンニさんと愛妻のこれまで
東洋経済オンライン / 2024年7月22日 11時30分
-
3「最高益の会社」の株価が上がらない当然の理由 相場に影響を与えるのは過去のデータではない
東洋経済オンライン / 2024年7月22日 16時0分
-
4日本企業が「20年で世界から没落した」2大理由 日本企業の「現場」で"何が"起こっていたのか
東洋経済オンライン / 2024年7月22日 9時40分
-
5なぜユニクロは「着なくなった服」を集めるのか…「服屋として何ができるのか」柳井正氏がたどり着いた答え
プレジデントオンライン / 2024年7月22日 9時15分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください