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資本的支出があった場合の相続税評価額について元国税の税理士が解説

相談LINE / 2021年9月28日 19時0分

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前回見た通り、家屋の相続税評価は非常にシンプルですが、疑義がある項目として資本的支出をした場合の取扱いがあります。資本的支出とは、法人税や所得税などでよく問題になる支出で、簡単に言えば固定資産の価値を高めたり、使用可能年数を増やしたりする支出を言います。
価値を高める、といった点からも分かる通り、法人税などでは資本的支出があると、その財産価値を決算書でも表現するために、その支出額を対象になる固定資産の取得価額に加算することとされています。この考え方は相続税評価でも重要になりますが、固定資産税評価額は過去の数字ですから、資本的支出の金額があればそれを固定資産税評価額に加算しないと、正しい相続税評価ができないと考えられています。
この点、国税の通達などに明記はありませんが、国税庁ホームページにおいて以下のような取扱いが記載されています。

■資本的支出があった場合の相続税評価額

国税庁ホームページによると、増改築等をした家屋の状況に応じた固定資産税評価額が付されていない場合、その家屋の価額は、その家屋の固定資産税評価額に一定額を加算した金額を相続税評価額にすると記載されています。

ここでいう一定額ですが、その増改築等をした家屋と状況の類似した付近の家屋の固定資産税評価額を基準に、その付近の家屋との構造、経過年数、用途等の差を考慮して評価した価額とされます。

ただし、その例外として、状況の類似した付近の家屋がない場合には、その増改築等に係る部分の再建築価額から相続開始日等の日(相続税評価額が計算されるタイミング。専門的には「課税時期」といいます)までの、償却費相当額を控除した価額の100分の70に相当する金額が、この一定額とされます。

なお、上記の例外の例外として、課税時期から申告期限までに、その家屋の増改築等を踏まえた固定資産税評価額が付された場合には、その固定資産税評価額を基準として評価されることになります。


■一般的な修繕などは対象外

ところで、これらの取扱いは、資本的支出や増改築があった場合の取扱いです。これらと似た支出として、いわゆるメンテナンスコストと言われる修繕費があります。修繕費については、固定資産を使用する上で必要不可欠な支出ですので、仮にこれらの支出をしても、上記のように相続税評価額に加算する必要はありません。

言い換えれば、支出の内容が修繕費に当たるかどうか、その検討も行う必要があるということになります。

■専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。



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