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節税策として有効利用されている倒産防止共済の否認事例を元国税が解説

相談LINE / 2021年10月26日 19時0分

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先日、税務署を監督する会計検査院の調査により、個人事業主の倒産防止共済について以下のミスが多くあることが判明したと報道されました。
1 返戻金の収益計上がなされていないというミス
2 必要な明細書の添付がなされていないというミス
倒産防止共済とは、取引先事業者の倒産に伴う経営リスクをヘッジするため、その加入者に対し、無担保・無保証人で掛金の最高10倍まで借入れができる、という共済制度です。この共済ですが、その掛金については、原則として支払時点において前納分も含めて経費にすることができる(年間240万円、最高800万円まで)、という税務上の特典が認められており、中小企業や個人事業主の代表的な節税となっています。


■倒産防止共済のミス1

話を戻しますが、上記1のミスについて捕捉しますと、倒産防止共済は掛金を経費として認める反面、それを解約等した場合に返戻される返戻金については、全額収益計上する必要があるとされています。おそらくですが、倒産防止共済の掛金を支払ったタイミングと、実際に解約等して返戻金が入金されるまでのタイムラグが大きいため、収益計上する処理を失念した、ということだと思われます。

言い換えれば、倒産防止共済は節税になる反面、その返戻金に対し、返戻時に退職金を支給する、といった出口戦略も必要になるということです。

■倒産防止共済のミス2

次の、上記2のミスについてですが、倒産防止共済の掛金は経費になる要件として、所定の明細書を申告書に添付しなければならないとされており、その明細書の添付がない申告書が多かった、ということだと考えられます。困ったことに、所定の明細書といいながら、最近まで所得税の申告書で添付すべき様式を国税庁は用意しておらず、適宜自分たちで所定の事項を書いた書類を作って提出するように指導していました。このため、個人事業主の申告で添付を忘れることが多かったように思います。

今は様式もできていますので、今後失念することは多くないでしょうが、倒産防止共済の掛金は手続きに厳しいですから、書類の添付もれがないよう、注意してください。

■専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。

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