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東京都が敗訴した個人事業税の駐車場業を巡る訴訟について元国税が解説

相談LINE / 2021年10月28日 19時0分

東京都が敗訴した個人事業税の駐車場業を巡る訴訟について元国税が解説

先日、個人事業税の課税対象になるかどうかで、東京都が敗訴した事例がありました。個人事業税は法定業種と言われる70の業種を営んでいる事業主に課税されますので、言い換えればこれに該当しない業種については、個人事業税はかかりません。本件で問題になったのは、「土地の貸主が、駐車場用地として一括して貸し付けている場合で、自らは建築物駐車場や機械式駐車設備を設置しておらず、かつ貸し付けた相手方自身は駐車せずに第三者に駐車させているようなケース」です。

■駐車場業か不動産貸付業か

もう少し分かりやすく説明しますと、土地の貸主が一括して、コインパーキングの運営会社に更地を貸し、その土地の設備等をコインパーキングの運営会社が建設した上で、他人に駐車場として貸すケースです。このようなケースについては、東京都の取扱いでは、駐車可能台数など一定の要件を満たす場合、原則として「駐車場業」という法定業種になるとされていました。

しかし、本件の場合、駐車場業を営むのは個人事業主ではなくコインパーキングの運営会社になるはずです。となると、コインパーキング会社が駐車場業、コインパーキングに更地を貸している事業主は、土地を貸したということで不動産貸付業にあたる、と解釈することもできます。

不動産貸付業についても、原則として法定業種となりますが、例外的に法定業種にならない場合があります。それは、土地の賃貸借の契約件数など一定の基準に基づいて判断した場合に、規模が大きい「事業」と判断されず、規模が小さい「業務」と判断される場合です。

本件は、一定の基準に当てはめた場合「業務」となる規模でしたので、不動産貸付業であれば個人事業税の対象にならないものの、駐車場業に該当するとした場合には、要件を満たし個人事業税の対象になるものでした。このため、東京都は駐車場業として課税をしましたが、納税者は「業務」となる不動産貸付業のため、個人事業税の対象にはならないとして反論したのです。

■裁判の結果

裁判の結果、本件のようなケースは、不動産貸付業になるため、東京都の課税は誤りとされました。その結果、東京都は解釈を見直し、今後は本件のようなケースについては、不動産貸付業に当たるとして処理を行うとしています。

詳細は東京都主税局のホームページなどをご参照ください。

■専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。

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