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農業や家庭菜園における小規模宅地の特例との関係を元国税の税理士が解説

相談LINE / 2021年11月24日 19時0分

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相続税の計算上、必ず適用すべき特例の一つに小規模宅地の特例があります。これは、被相続人などが事業や居住の用に供していた一定の要件を満たす宅地について、その評価額を最大で80%減額させるという特例です。この特例の中で、問題になるのは農業です。

■農業は原則対象外

農業も事業なので、基本的にこの特例の対象になると思いがちです。しかし、そうではなく農業は基本この特例の対象外とされています。この理由は、農業には農地の納税猶予という別の特例が認められているからです。この特例は、一定の農地を相続等した農業の後継者について、農地に係る相続税額などの納税を猶予するというものです。小規模宅地の特例は評価減なので、納税額そのものを減らす制度ですので、税金の納税を猶予するものではありませんが、相続税の特例であることは間違いありません。同じ特例を複数使うことを認めると有利すぎることになりますので、農業については農地の納税猶予を使うこととし、原則として小規模宅地の特例の対象にならないとしているのです。

■対象になるケースは

農業に関連して、小規模宅地の特例の対象になるケースは以下とされています。

1 農業用耕うん機、トラクター、農機具等の収納用の建物の敷地の用に供される土地
しかし、以下のような場合は除かれます。
・ 温室その他の建物でその敷地が耕作の用に供されているもの。
・ 暗渠その他の構築物でその敷地が耕作・養畜等の用に供されるもの。
2 一定の農作業場

耕作の用に供されるものは除かれますので、基本的には農機具置き場のようなものであれば対象になります。この判定はかなり難しいので、詳細は税理士などの専門家に確認することとしましょう。

■家庭菜園はどうなる

農業に関連して、家庭菜園に係る小規模宅地の特例についても押さえておきましょう。庭を利用した家庭菜園のようなものであれば、居住用宅地の一環と見ることが出来ますので、この場合には小規模宅地の特例の対象になる居住用宅地の一つと見られる場合もあります。

ただし、居住用の一環というのであれば、例えば家と道路を挟んで反対側に家庭菜園がある、といった場合はこの対象と見ることは難しいと言えます。最終的には常識的な判断になりますが、専門家に相談しながら、慎重に判断することとしましょう。

■専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。

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