教員の職業病である鬱が年々増加!学級崩壊の原因となった生徒・親に対する損害賠償は可能?防衛手段は?
相談LINE / 2015年1月23日 21時45分
文科省が発表した「教員のメンタルヘルスの状況」によると、精神疾患によって休職した教員数は10年間で3倍になったと伝えられており、鬱は今や教師の職業病として定着しつつあります。「業務過多・残業の増加」、「部活や学校行事による負担増」、「モンスターペアレント」など原因は様々ですが、学級崩壊もその内の1つに含まれています。メディアでは「教師の指導力不足」などと報じられていますが、禁止された体罰と、それに対する監視が厳しくなる中、それを逆手に生徒の挑発行為が増えていることも原因ではないでしょうか。学級崩壊を原因に鬱になった場合、その親に対して損害賠償が可能かどうか、また教員自身の防衛手段について川原俊明弁護士に話を聞いてみました。
■生徒の暴力が原因で怪我をしたり、心の病にかかってしまった場合は生徒の親を相手に損害賠償請求が可能でしょうか?
損害賠償は、場合によっては可能です。
教師は、生徒に教育を施すのが本来の業務です。とはいえ、生徒にも様々な個性があり、素行のいい子もいれば悪い子もいます。
そんなときに、ナイフを隠し持っていた生徒に、けがをさせられた、などの事態が発生した場合、教師が親を相手に損害賠償請求できるのでしょうか。
一般的に、高等学校までの学校の生徒は未成年者です。民法712条の規程によると、未成年者が、他人に損害を与えた場合、自己の行為の責任を弁識するに足りる知識を欠いていたときは、その未成年者に賠償責任を問うことができません。
ではそのナイフを持っていた生徒が高校生の場合、自ら損害賠償義務があります。
問題は、その親に賠償請求ができるか。民法714条の規定があります。
責任無能力者の監督義務者の責任です。ただし、ここにいう「責任無能力者」は、未成年のすべてに該当するものではありません。未成年者の中でも、自分の行為の責任を弁識するに足りる知識を備えていないもの、とされており普通は、12歳未満が想定されています。
そうすうと、高校生による加害行為には、当然のように親に責任を問うことはできない、ということになります。
ただし、これは、民法714条の規定を前提にした議論です。
もし、その高校生が、家庭的に問題があり、両親がナイフの所持を黙認しているような家庭であったり、過去にも同様の加害行為の存在を認識して放任いたような場合には、民法719条の共同不法行為責任として親のの追求手段を考えるべきです。
共同不法行為は、かならずしも故意の共同でなく、故意と過失の共同でも成立します。状況によっては、高校生と共に両親にも共同不法行為責任を問うこともあり得るのです。
■教師が自分の身を守るためや、正当性を担保するために、ビデオ撮影したり、レコーダーで授業中の音声を録音する行為は何かの法律に触れる危険性はあるのでしょうか?
基本的には、プライバシー保護の観点から問題にされる可能性があります。
人格権の侵害による損害賠償義務の発生などです。
とはいえ、すでに何度も生徒からの加害行為があり、今後も再発が十分に予測されそうな緊急事態では、正当防衛行為などを理由として違法性を阻却し、賠償責任の対象にならない、ということが言える場合もあります。
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