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塾業界独自の給料体系「コマ給」ーー授業前後の準備時間はタダ働き?!

相談LINE / 2016年1月15日 21時0分

塾業界独自の給料体系「コマ給」ーー授業前後の準備時間はタダ働き?!

大学生に根強い人気を誇るアルバイト「塾講師」。短時間勤務で稼ぎが良いというイメージがあるが、実はブラックバイトではないかと認識され始めている。事実、昨年6月に「個別指導塾ユニオン」が設立され、個別指導塾で働く講師やアルバイトの労働組合として相談受付を開始した。
では、一体なぜ、塾講師がブラックバイトと認識され始めたのか。それは業界独自の給料体系「コマ給」にある。
コマ給とは90分の授業を一つのコマとして計算し、その分の給料を払うという体系だ。つまり授業前の予習や、授業後の質問を受け付ける時間などは給料支払いの対象外となるのだ。
今回はこの問題について木川雅博弁護士に伺った。

■そもそも給料の支払対象となる労働時間とは、どのように定義されている?

まずは、労働時間がどのように定義されているのか伺った。

「労働時間とは、『労働者が実際に労働に従事している時間だけでなく、労働者の行為が何らかの形で使用者の指揮命令下に置かれているものと評価される時間』のことを言います」(木川雅博弁護士)

では、コマ給では支払対象外となっている授業前後の準備時間は、労働時間としてみなされるのだろうか。

「学習塾側の指示を受けて授業の事前準備のために授業開始時刻前15〜30分前の教室入室をしたり、授業後の入力等の対応のために終了時刻後に30〜60分程度の作業をしたりした場合は、すべて労働時間として本来賃金が支払われなければなりません」(木川雅博弁護士)

塾とは、その目的の一つに生徒の成績向上が含まれている。つまり、質の高い授業を行う必要があるのだ。そのため、授業前の予習や授業後の質問受付は、その目的達成に必要なものだと考えるのが普通であり、その時間が労働時間として認められないとなると、講師はやる気をなくしてしまうだろう。

■実力不足を補うための自宅での予習は労働時間外

しかし、ここで重要なことを木川雅博弁護士が述べてくれた。

「ただし、講師として標準的に期待される知識不足のために自宅で自習・予習した場合など、使用者の指揮命令下に置かれているものと評価されない準備時間は労働時間に含まれません」(木川雅博弁護士)

その講師に教えるだけの実力が備わってない場合に充てられる自宅での予習は、そもそも使用者による指揮命令によるものではないので、労働時間に含まれないという。

■「卒業後は、先生みたいに塾で働きたい」と言ってくれる生徒を更なる被害者にしてはいけない

冒頭で触れた個別指導塾ユニオンだが、設立時の会見でこのように述べている。

「教え子から『◯◯先生みたいに、卒業後はうちの塾で働きたい』と言って貰えた時に、この子を自分と同じブラックバイトの被害者にしてはいけないと感じて、教室の改善に向けて行動をしようと思った」

子供たちに安心して学んでもらう為には、講師が安心して働ける環境が必要である。

もしも、現在塾の講師をされている方で、準備時間に給料が支払われていないという方は、一度弁護士やユニオンに相談してみることをオススメしたい。

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