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無償減資による法人住民税均等割の節税とその注意点を解説!(松嶋洋)

相談LINE / 2016年4月8日 20時0分

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法人については、法人税だけではなく、法人住民税もかかります。この法人住民税ですが、法人税に対して課される法人税割と、資本金等の額に応じて課される均等割からなります。
法人税は、黒字の場合にしか発生しませんので、赤字会社であれば、法人税や法人税割はかかりませんが、均等割は資本金等の額という利益に関係ない金額に応じて課税されますので、赤字会社でも法人住民税がかかることになります。

■資本金等の額

均等割の基準となる資本金等の額は、原則として会社の資本金や資本準備金を意味します。均等割の金額を見ていただくと分かりますが、資本金等の額が1千万円以下か超かで、大きな差が生じます。

このため、均等割の節税を考える上では、資本金等の額が小さい方がいいのですが、従来の制度では、単に会社の資本金を減少させても、資本金等の額が減らない場合がありました。具体的には、資本金を減少させて過去の赤字を減らす、という手続きを行っても、資本金等の額は減らず均等割は変わらなかったのです。

少し難しくなり申し訳ありませんが、従来は株主にお金を払って資本金や資本準備金を減らす、いわゆる有償減資を行う必要があり、赤字を填補するような、お金を払わない無償減資に対しては、資本金等の額が変わらないとされていました。

■均等割の改正がスタート!

去る平成27年度改正により、この点が見直され、均等割の計算上、平成13年4月1日以降に無償減資等により、赤字の填補を行っている法人は、資本金等の額からその赤字の填補額を減算することができるとされました。このため、赤字を填補するために資本金を減らせば、均等割の節税ができる場合があります。この改正は、平成27年4月1日以後に開始する事業年度の均等割の計算から適用されます。

なお、この適用を受ける場合には、株主資本等変動計算書や株主総会議事録など、赤字を填補するために資本金を減少させたことを証明する書類を提出する必要があります。

■しかし、その反面…

上記の改正に加え、均等割の計算においては、「資本金等の額」が「資本金と資本準備金の合計額」を下回る場合には「資本金と資本準備金の合計額」を基準とする、という改正も実現していることに注意する必要があります。

従来、自己株式の買い取りなどを行えば、資本金と資本準備金を減らさずに資本金等の額を減らすことができ、均等割を節税することができましたが、このような節税は今後できませんので、注意してください。

●執筆:元国税調査官・税理士 松嶋洋 WEBサイト
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。国税局を退官後、経団連関連の税制研究所において、法人税制を中心とするあるべき税制の立案と解釈研究に従事。現在は、税務調査対策及び高度税務に関するコンサルティング業務に従事するとともに、税理士向けに税務調査・法令解釈のノウハウにつき講演執筆活動を行う。

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