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法人税節税に有効な役員報酬ーー事前確定届出給与の賢い使い方!(松嶋洋)

相談LINE / 2016年5月20日 19時0分

法人税節税に有効な役員報酬ーー事前確定届出給与の賢い使い方!(松嶋洋)

法人税は、役員に対する給料に対し、非常に厳しい規定を設けています。具体的には、役員に対する給与は、以下の3つを除いて原則として経費にならないとしています。
(1)毎月同額を支給するもの(定期同額給与)
(2)あらかじめ税務署に届け出た一定の給与(事前確定届出給与)
(3)同族会社以外の会社が支給する、一定の利益連動給与
中小企業の実務上は、(1)と(2)が問題になります。
※(1)については前回コラムを御覧ください。

■事前確定届出給与とは?

(2)の事前確定届出給与は、役員に対して賞与を出したい時などに使うもので、税務署にあらかじめ、支給時期や支給金額を届け出ることで認められるものです。

この届出については、事業年度開始日から3月以内に提出が必要とされています。

■事前確定届出給与がダメとなるケース

事前確定届出給与の注意点として、届け出た通りに支給する必要があることが挙げられます。届け出たものの、その通りに支給しなければ、経費になりません。

以前裁判にもなった事例ですが、夏と冬にボーナスを支給する会社について、夏はボーナスを支給したが、冬は支給しなかったケースが問題になりました。この会社、夏と冬に役員にも賞与を出すため事前確定届出給与の届出書を出していましたが、夏は届出の通り支給したものの、冬は支給しなかったため、届け出た通りに支給しておらず、夏に支給した部分を含めて経費にならないと判断されています。

このため、事前確定届出給与の届出をする場合には、慎重な判断が必要になります。

■有効な使い方その1 ~節税のための保険~

反面、この届出の有効な使い方として、決算日などに高額な賞与を出す旨を届け出ておく、という使い方があります。

届出の通りに支給しなければ経費になりませんが、支給しなければそもそも経費としてはいませんので、経費にならない金額は零円のままです。具体例を申しますと、例えば300万円支給すると届け出た場合、100万円しか支給しなければ100万円は経費になりませんが、支給しない場合には、そもそも支給額はゼロですから、経費にならない金額もゼロのままです。

このため、保険として届出だけしておき、満額出せる場合は出して節税を図り、出せない場合は一円も出さないというやり方がよく見られます。

■有効な使い方その2 ~社会保険料の削減~

社会保険料は原則として毎月の給与に応じて決まりますので、毎月の給与を少額にして賞与を大きくもらえば、社会保険料を削減することが可能になります。このため、多額の賞与をもらうために事前確定届出給与を支給する、というケースも多く見られます。

ただし、このスキーム、本コラムでも取り上げましたが、個人的には多少リスクがあると考えていますので、実行に当たっては専門家とよくご相談ください。

●執筆:元国税調査官・税理士 松嶋洋 WEBサイト
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。国税局を退官後、経団連関連の税制研究所において、法人税制を中心とするあるべき税制の立案と解釈研究に従事。現在は、税務調査対策及び高度税務に関するコンサルティング業務に従事するとともに、税理士向けに税務調査・法令解釈のノウハウにつき講演執筆活動を行う。

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