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【経営者必読】事業承継の自社株対策に有効な投資育成会社とは?(松嶋洋)

相談LINE / 2016年5月30日 19時0分

【経営者必読】事業承継の自社株対策に有効な投資育成会社とは?(松嶋洋)

事業承継において問題になる財産は、オーナーが保有する自社の株式(自社株)です。自社株は会社の利益に応じて高額になりますので、業績のいい会社を後継者に引き継ぐ際、その会社の株価が高額になり、贈与税や相続税の負担が大きくなります。

このため、事業承継に当たっては自社株の対策が必要になりますが、そこで活用を考えたい制度の一つに、投資育成会社があります。

■投資育成会社とは?

投資育成会社は、正式名称を「中小企業投資育成株式会社」といい、経済産業省の監督を受ける公的な会社です。投資育成会社が自社株対策に役立つのは、そこからの出資を引き受けることで、オーナーが有する株式の保有割合を下げることができるからです。

出資を引き受ける場合、原則としては出資時点の自社株の評価額を基礎に出資額を決定する必要があります。例えば、1株しか発行していない会社の株価が1株10万円の場合、その会社に100株分出資するのであれば、1000万円の出資を受ける必要があります。こうなると、以下の通り株価は10万円で変わりません。

(10万円+1000万円)÷(1株+100株)=10万円

しかし、投資育成会社の場合、この出資をする金額を小さく計算できる場合があります。先の例でいえば、10万円ではなく2万円といった形で計算されます。となれば、100株出資を受けるとしても、200万円で足りますので、一株当たりの株価は小さくなります。

(10万円+200万円)÷(1株+100株)=2.08万円

一株当たりの自社株の金額が下がれば、後継者に株式を移転しやすくなりますので、自社株の対策に役立つわけです。

■配当さえきちんとしていれば口出しはしない

投資育成会社は、適正に決算書が開示され、安定的に配当されている限りは、原則として経営に介入することはありません。このため、支配権を握られる、という心配は原則としてないと言われています。

なお、法律で投資育成会社は議決権の50%以上の出資が認められていません。実務上は、特別決議の要件(3分の2)を踏まえて、3分の1程度の出資とすることが多いようです。

ネックとしては、出資を受ける話ですので、いろいろと審査があり、どの会社もクリアできるという話ではありません。要件に該当するかどうか、顧問税理士と相談しながら適用を考える必要があります。

●執筆:元国税調査官・税理士 松嶋洋 WEBサイト
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。国税局を退官後、経団連関連の税制研究所において、法人税制を中心とするあるべき税制の立案と解釈研究に従事。現在は、税務調査対策及び高度税務に関するコンサルティング業務に従事するとともに、税理士向けに税務調査・法令解釈のノウハウにつき講演執筆活動を行う。

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