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実務でもよく使われる「形式上の貸し倒れ」の要件や注意点を解説(松嶋洋)

相談LINE / 2016年9月2日 19時0分

実務でもよく使われる「形式上の貸し倒れ」の要件や注意点を解説(松嶋洋)

法人税は貸倒損失に非常に厳しいのですが、その中で最も簡単に認められる貸倒損失として、形式上の貸し倒れというものがあります。
形式上の貸倒れは、以下の2つの要件を満たす債権についてだけ認められます。
(1) 売掛金、受取手形などの売掛債権→貸付金などについては認められません。
(2) 継続的な取引のある取引先に対する債権→固定資産を譲渡した場合の未収金など、単発的な取引先への債権については認められません。

■形式上の貸倒れの要件

上記の債権について、以下のいずれかに該当する場合には、無条件で貸倒損失として経費とすることが認められます。

1 継続的な取引を行っていた債務者との取引を停止した場合において、その取引停止の時と最後の弁済の時などのうち、最も遅い時から1年以上経過したこと
→ 取引をやめた後、一部でも回収ができれば、その回収ができた日から1年以上たっているかどうかを判断します

ただし、その債権に担保がある場合には、この対象にはなりません。

2 支払を督促しても弁済がない場合で、同一地域の債務者に対する売掛債権の総額が取立費用より少ないこと
→ 督促しても弁済がない場合とありますので、債権回収について努力したことを記録しておく必要があります。

ごく簡単に言えば、売掛金など経常的に発生する債権については、1年以上音沙汰ない場合、又は同一地域で見た場合の取立コストが債権金額を上回る場合に、形式上の貸倒れが認められます。

なお、貸倒損失とする場合、備忘価額として1円残して、残額を経費とします。

■経費とするタイミング

上記1の形式上の貸倒れについては、1年以上たった事業年度で必ず経費とする必要はありません。国税の内規によると、1年以上とありますので、2年経過した時点でも3年経過した時点でも、課税上の弊害がなければ任意のタイミングで経費とすることが認められるとされています。

課税上の弊害、すなわち利益調整になるような場合には税務調査で否認される場合がありますので、予めどの程度のスパンで落とすのか、会社で基準を決めておくことが望ましいでしょう。

■決算書で経費とする

その他、形式上の貸倒れについては、会社の決算において費用として計上する必要があるとされていますので、処理を忘れないよう注意してください。

●執筆:元国税調査官・税理士 松嶋洋 WEBサイト
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。国税局を退官後は、税務調査対策及び高度税務に関するコンサルティング業務に従事。

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