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【節税対策】分掌変更に伴う退職金が認められるための注意点(松嶋洋)

相談LINE / 2016年11月14日 19時0分

【節税対策】分掌変更に伴う退職金が認められるための注意点(松嶋洋)

役員が取締役から監査役になるなど、その業務が激変したため退職と同様の事情があると認められれば、分掌変更に伴う退職金が認められます。この退職金は、実際に退職していないものの、実質的に退職したと同視できることから認められたものであり、中小企業の節税として広く使われています。
この分掌変更に伴う退職金の要件ですが、国税庁の通達によると、原則として以下の3つの場合について認められるとしています。
(1)常勤役員が非常勤役員になった場合
(2)取締役が監査役になった場合
(3)分掌変更の後の役員の給与がおおむね50%以上減少したこと

■実質判断がなされる

実務においては、上記(3)の、給与をおおむね50%以上減少させることで分掌変更に伴う退職金を支給するケースが多くあります。しかしながら、単に50%以上減少させても、分掌変更に伴う退職金が認められない場合が多くありますので注意が必要です。

といいますのも、先の要件については、「実質的に法人の経営上主要な地位にある場合を除く」という条件がついているからです。このため、50%以上報酬を減額させても、実質的に法人の経営方針を定めているような役員については、分掌変更に伴う退職金を支給することは認められません。

税理士の中には、この要件をあまり考えず、50%減らせば大丈夫などという指導をする者もいますので、十分に注意してください。

■主要な地位の判断基準

ところで、この主要な地位にある場合の具体的な判断基準ですが、裁決事例や判例を見ますと、銀行や取引先との交渉の事実関係を重視する傾向があります。銀行や取引先との交渉は、会社にとって最重要項目であり、原則としては社長が対応するべきことですから、例えば社長が会長に分掌変更した場合、旧社長である会長が担当するのではなく、新社長が対応すべき、という話になります。

しかしながら、単に名目上会長に肩書きを変えただけで、実際の経営権を依然として会長が握る場合には、取引先や銀行との交渉を新社長に任せず、会長が従来通り行うことがほとんどです。こうなると、分掌変更に伴う退職金が認められないことになりますから、きちんと引継ぎをし、その記録を残しておく必要があります。

●執筆:元国税調査官・税理士 松嶋洋 WEBサイト
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。国税局を退官後は、税務調査対策及び高度税務に関するコンサルティング業務に従事。

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