小規模宅地の特例で見落とされがちな限度面積と同意書の添付(松嶋洋)

相談LINE / 2016年12月12日 20時0分

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相続税の節税において、大きな役割を果たすのが小規模宅地等の特例という制度です。被相続人の居住の用や事業の用に供している宅地を、一定の相続人が承継した場合、その宅地の評価額を最大80%減額させることができますので、非常に有用な制度です。

■限度面積とは?

この制度ですが、特例上、限度面積が決められており、その面積を超える部分については、この特例の対象にはなりません。具体的には、以下の通りです。

(1) 被相続人の事業用に使われていた一定の宅地(特定事業用宅地等) 400㎡
(2) 被相続人の居住用に使われていた一定の宅地(特定居住用宅地等) 330㎡

例えば、400㎡の特定事業用宅地等が複数あれば、いずれか一つの宅地しかこの対象にはなりませんので、どの宅地について適用するのか選択をしなければなりません。この選択については、相続人が協議により決定する必要があります。

■同意書の提出

協議により決定すれば足りる話ですが、小規模宅地等の特例は、その宅地を承継する相続人のメリットが及びますので、それを承継する相続人以外の相続人は、宅地を承継する相続人がその承継する宅地について、小規模宅地等の特例の適用を受けることに同意する必要があります。注意したいのは、この同意を証明するために、相続税の申告書に、同意を証する書類(相続税申告書第11・11の2表の付表1)を添付する必要がある、ということです。

この書類の添付がなければ、その他の要件を満たしていたとしても、小規模宅地等の特例の適用はありませんので、注意する必要があります。

■分割済みも要注意

すべての相続財産について遺産分割が有効に成立している場合は添付を忘れることはほとんどありませんが、遺産分割がもめていると、提出を失念してしまうことがありますので注意したいです。

例えば、小規模宅地等の特例の要件を満たす、二つの宅地がある場合、一つの宅地(A宅地)は分割が成立し、もう一つの宅地(B宅地)は分割が成立していない、というケースがあります。小規模宅地等の特例は、未分割の宅地には適用がありませんので、この場合にはA宅地についてのみ、特例が認められます。ただし、A宅地について、分割により取得した相続人が特例を受けるためには、他の相続人の同意書が必要になります。

分割がすべて成立しておらず、相続人で争いがあると、同意しているはずのA宅地について、他の相続人が同意書を提出することを嫌がるケースがよくあります。このようなケースについても、同意書がなければ、特例を認めないというのが国税のスタンスです。

このようなことのないよう、慎重に遺産分割を進める必要があります。

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