2年が経過した特定秘密保護法。もしも知らぬ内に違反をしていたら?
相談LINE / 2016年12月15日 21時0分
特定秘密保護法が施工されてから、今月10日で2年が経過した。特定秘密保護法は、政府が指定した国の安全保障に関わる重要な情報を漏らしたり、不正に取得しようとした人に重罰を科すという法律である。現時点では当初懸念されていた国民の「知る権利」をおびやかす事態は起こってない。とはいえ国民の「知る権利」が侵害されているかどうかについてのチェック体制は、今もなお不十分であると言われている。そこで今回は改めて特定秘密保護法について基本的な事をおさらいしたい。もしも私たちが特定秘密保護法を違反した場合、逮捕状には具体的に漏洩した情報が記載されない可能性がある。つまり何を漏洩したか一切わからずに逮捕されるということである。この点について星野宏明弁護士に話を伺った。
■違反をしても、何の情報を漏洩したのかが分からない可能性がある
もしも秘密保護法違反で逮捕された場合、逮捕状に漏えいした秘密の内容が書かれないことがありえる。この場合、何を漏洩したことで罪に問われているかわからない。つまり、もしも無実だとしてもその無実の理由を証明できないのではないだろうか。
「確かに、逮捕状や起訴状の被疑事実、公訴事実において、処罰理由となっている漏えいした秘密が記載されないと、被告人の防御の観点からは、防御対象が不明確となり、刑事手続の権利保護に支障が生じるおそれはあります。特定の秘密を洩らしたことを処罰する以上、処罰対象となった秘密の内容を逮捕状や起訴状に記載しないとなると、被告人の防御が困難となる場合があるのは、容易に想像できます」(星野宏明弁護士)
やはり何の情報を漏洩したのかがわからなければ、被告人には圧倒的に不利と言わざるをえないだろう。
■それが犯罪であるということが証明できる可能性が高ければ逮捕は問題ない
ではこのこと自体が憲法違反、あるいは刑事訴訟法違反にならないのだろうか。
「直ちに憲法違反あるいは刑事訴訟法違反となるかというとそうともいえません。逮捕状の被疑事実の実質的内容として、どこまで記載する必要があるかは、一概には決まっていません。基本的には、犯罪の成立と処罰対象が明確化できて、被告人の防御に大きな支障がなければ,違法ではないと考えられます」(星野宏明弁護士)
「これは、特に捜査の初期(逮捕)段階では、一般に捜査機関も犯罪の詳細まで把握できないことがあり(詳細を捜査するために逮捕するのです)、あまりにも厳格な特定を求めると、捜査・治安維持に不都合が生じるためです。例えば、被害者がいない覚せい剤使用事案では、『5月1日から5月8日頃までの間』『東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県またはその周辺において、覚せい剤を使用した』というレベルの特定だけで被疑事実が記載されることが多いです。被害者がいないため、詳細は特定できないが、犯罪が成立するための要件が立証できれば、それでよいのです。」(星野宏明弁護士)
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
情報漏えいの県警元巡査長が初公判で起訴内容認める 検察は懲役1年求刑 法廷で語ったことは…
KYTニュース / 2024年7月11日 19時1分
-
「薬物使用疑惑」聴取後に俳優イ・ソンギュンさん死去 情報漏えいで警察官、検察官、記者ら6人を刑事処分
よろず~ニュース / 2024年7月11日 17時10分
-
別府ひき逃げ、「重要指名手配」も未解決のまま2年…弁護士に聞く「指名手配」との違いと重さ
オトナンサー / 2024年7月11日 7時10分
-
〈鹿児島県警・情報漏えい〉不祥事の発端となった医師会職員の“強制性交疑惑”。県警は捜査前から「事件にならない」と告訴された職員と元警官の父に伝えていた! 医師会幹部は「捜査は途中から一生懸命」と会見で口を滑らし…
集英社オンライン / 2024年7月7日 9時0分
-
瑠奈被告の精神鑑定の男性医師 捜査秘密を漏洩か 両親の弁護人が刑事告発 すすきの殺人
HTB北海道ニュース / 2024年7月4日 19時34分
ランキング
-
1「ふざけるな」「警察呼ぶぞ」カスハラ被害者、今もフラッシュバック…心の被害深刻化
読売新聞 / 2024年7月17日 16時17分
-
2「百条委で答えさせてください」高級コーヒーメーカー受け取った県産業労働部長 斎藤兵庫県知事の疑惑で
産経ニュース / 2024年7月17日 21時40分
-
3元育成ドラフト1位の高校非常勤講師、バイト先だった飲食店で600円盗んだ疑いで逮捕
読売新聞 / 2024年7月17日 19時8分
-
4隣人をサンドバッグ扱いし、骨折30カ所 暴行死させた元ボクシング練習生の無慈悲な犯行
産経ニュース / 2024年7月18日 8時0分
-
5「堀井学氏が秘書らに香典配布を指示」、事務所関係者が供述…東京地検特捜部が強制捜査へ
読売新聞 / 2024年7月18日 5時0分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください