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税務調査で必ずチェックされる役員退職金。再任の場合の注意事項とは?

相談LINE / 2017年5月22日 19時0分

一括で多額の経費を計上することができ、かつ所得税も優遇される役員退職金については、必ず税務調査で問題になります。税務調査では、役員退職金が適正であるかどうかはもちろん、それ以上に問題になるのは退職したと言えるかどうかです。
中小企業の場合、社長が退任しても会長として会社に留まる、といったことが多いですが、この場合果たして会社を退職したと言えるのかが問題になります。職務内容が激変し、実質的に退職したと言える場合には分掌変更として退職金の支給は認められますが、それ以外の場合には原則として退職したとは言えませんので、退職金の支給は認められません。

■退職とは何か

ところで、退職という用語の意義については、税金の計算上は一般の定義よりも狭いと考えられています。税金の計算上、退職という用語の意義は、「勤務先からの離脱」を意味すると説明されています。

勤務先から離脱する必要がありますので、原則として会社に席があれば、退職にはなりません。典型例は、役員の再任です。取締役の任期は一般的には2年以内とされていますが、多くの企業では2年経過しても再任されます。任期が満了するので2年で退職金が認められるのでは、といった疑問も生じますが、再任されれば勤務先から離脱したことにはなりませんので、退職金は認められません。

■再任が前提でない場合

このあたり、税理士や税務署では常識的な話であり、ミスはまずありませんが、再任した場合にも、例外的に認められるケースがありますので押さえておく必要があります。それは、退職して会社と関係がなくなることが前提であったにもかかわらず、後発的な事由によって再任せざるを得なかったケースです。

例えば、会社が買収されたため、旧経営陣を一掃して新しい経営陣を導入しようとした場合において、その旧経営陣からは退職の意思を聞いていたものの、予定した新経営陣についてやむを得ない理由があるため役員に就任することができず、仕方ないため旧経営陣を再任せざるを得なかった、といったときには退職金の支給が認められる余地があります。旧経営陣も退職を予定しているわけで、通常通りであれば退職しているはずですから、これは一般の再任とは異なり、いったん退職した者を再度役員とした、と見ることは可能だからです。事実、過去の事例においても、このような場合には退職金の支給が認められるとしたものがあります。

極端な事例ですが、このようなケースも想定されますので、再任した役員への退職金は無条件に否認されると考えることなく、事実関係を精査した上で専門家の意見も聞きながら検討する必要があります。

専門家プロフィール:元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。実質完全無料の相談サービスを提供する。

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