タックスヘイブン税制改正の注意すべきポイントを専門家が解説!
相談LINE / 2017年6月12日 19時0分
所定の要件を満たす、タックスヘイブンに所在する子会社の所得に対しては、親会社である日本法人の所得金額として課税される場合があります。この制度をタックスヘイブン税制といいますが、タックスヘイブン税制については、平成29年度改正で総合的な見直しがなされることになりました。
この制度は非常に複雑なので詳細は割愛しますが、注意したいポイントとして、適用除外基準に係る立証責任の改正があります。
■適用除外基準とは
適用除外基準とは、タックスヘイブンにある子会社に実態があると認められる一定の要件を満たす場合に、タックスヘイブン税制の適用を除外するという基準を言います。この基準を満たせば、タックスヘイブン税制の適用がないことになりますので、実務上よく問題になります。
税金を取りたい国税は、適用除外基準を狭く解釈する一方で、納税者はその範囲を広く解釈する傾向があります。このため、裁判などでよくもめるのですが、この適用除外基準についてはグレーゾーンが非常に大きく、結果として国税から不意打ち的な課税を受けることも多くあると言われています。
このため、法律を前提に反論しようとすれば、グレーゾーンであるため確実な反論が難しいという現状があります。その反面、適用除外基準については、適用除外基準を満たさない、すなわち課税される要件について国税が立証責任を負うことになっていますので、万一の際は、この国税の立証責任を前提に交渉することが都合がいいと言われています。
実際のところ、適用除外基準を満たすかどうかは外国の子会社の実態を見て判断することになるため、海外の調査ができない国税にとって、この立証は非常に厳しいと言われています。
■立証責任は納税者にあるという改正
しかし、平成29年度改正により、この立証責任が納税者に転嫁される改正が実現しています。具体的には、国税職員が指定した所定の期日内に、これらの基準を満たすことを証明する書類を国税に提出しなければ、適用除外基準に該当せず課税対象になると推定する、という改正が実現しているのです。推定する、ということは提出がなければそのまま課税処分ができるということになりますので、結果として納税者が証明しなければならないということになります。
こうなると、常日頃から資料を準備しておかなければ十分に反論ができず課税されることになりますので、注意が必要です。
専門家プロフィール:元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。実質完全無料の相談サービスを提供する。
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