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税理士が解説する「損金処理の注意点」とは?

相談LINE / 2018年2月26日 19時0分

税理士が解説する「損金処理の注意点」とは?

法人税において、損金経理要件というやっかいな要件が設けられている規定があります。損金経理要件とは、決算において費用又は損失として経理することを要件に、法人税においても経費として認めてあげるという規定をいいます。
この典型例が、減価償却費です。固定資産を購入した場合、資産の耐用年数に応じて減価償却費を経費とすることができますが、経費とするためには会社の決算上で費用として経理していなければなりません。

■粉飾決算で戻せない

損金経理要件が設けられている規定については、粉飾決算をしている場合などがよく問題になります。銀行対策として、利益を大きくするためにあえて決算書上減価償却費を計上しないという場合がありますが、このように経理をしなければ、その経理をしなかった年度においては、減価償却費が今後認められなくなります。

■事実上の貸倒損失はもっとやっかい

その他、債務者が債務超過で、客観的債権の全額の回収見込みがない債権については、事実上の貸倒れとして貸倒損失の計上が認められます。この事実上の貸倒れとしての貸倒損失についても、損金経理要件が設けられていますので、経費として計上する年度において費用又は損失として計上する必要があります。

ただし、客観的にみて全額の回収見込みがない、ことはだれにも分かりませんので、本来経費とすべき年度において費用として経理をせず、先延ばしにしてしまう場合が多くあります。こうなると、国税から損金経理要件を満たしていないため、貸倒損失の計上を認めない、といった指導がなされる可能性があります。

■原価処理は不可

その他、損金経理要件は費用又は損失として経理することを言いますので、原価として処理することはこの要件には当たりません。現職時代、機械などの固定資産を誤って仕入として処理したために、本来は減価償却すべきものを原価として経理していた会社がありました。この会社については、原価として経理しているため、損金経理要件を満たしませんので、原価として落とした機械については減価償却費の計上が認められないと指導しました。

損金経理要件については、税理士がきちんとチェックするべきですが、チェックがおろそかになり、その見直しが起こることが多々ありますので、損金経理要件の対象になる減価償却費などについては、再度内容を見直しておく必要があります。

■専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は税理士向けのコンサルティングを中心に118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開するとともに、法律論や交渉術に関する無料メルマガを配信中。

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