経費となる社会保険料の計上時期のよくある間違いを税理士が解説!
相談LINE / 2018年3月2日 19時0分
健康保険料や厚生年金保険料など、会社が負担すべき社会保険料については、原則として「当該保険料等の額の計算の対象となった月の末日の属する事業年度」において経費とすることができると定められています。
社会保険料は、会社と従業員が折半で負担し、当月分を翌月末に納付することになっています。このため、例えば3月分は4月末に納付する訳ですが、3月分の経費として未払計上することができます。
なお、法人税の経費になるのは、会社負担の経費に係る部分だけです。従業員負担部分は、当然ながら経費にはなりません。
■末日でない場合は注意
ミスが多いポイントとして、決算日が月の末日でない場合があります。
先の通り、「計算の対象となった月の末日の属する事業年度」において経費とすることができる訳ですが、例えば2月20日が決算の会社については、1月分(2月末納付)は未払いとすることができるものの、2月分(3月末納付)は、2月の末日を経過していませんから、その分は未払金として費用処理することはできません。
詳細は国税庁の質疑をご確認ください。
■社会保険料の追徴の場合
その他、社会保険料については未納がある場合、調査により過去2年間遡って社会保険料を納付する場合があります。この場合、先の話だと「計算の対象となった月の末日の属する事業年度」に遡っての修正が必要と考えがちですが、そうではありません。この場合には、追徴される社会保険料の額が確定した段階で、一括して経費とすることになります。
蛇足ですが、この追徴については、延滞金がかかる場合があります。税に係る延滞金である延滞税は法人税の経費とすることはできませんが、社会保険料の延滞金については、法人税の経費とすることができます。
■個人の社会保険料控除
ところで、社会保険料については、個人の所得税においても問題になります。個人の場合、社会保険料控除が認められているからです。
社会保険料控除については、支払った段階で控除対象になるとされています。このため、仮に滞納している社会保険料があれば、それを支払った年度において控除することができます。
ただし、将来に係る部分については、向こう1年分だけが、社会保険料控除の対象になります。
■専門家プロフィール
元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は税理士向けのコンサルティングを中心に118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開するとともに、法律論や交渉術に関する無料メルマガを配信中。
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