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従業員が取引先接待で終電逃しタクシーで帰宅した場合のタクシー代は税務上どうなる?

相談LINE / 2018年3月22日 19時0分

従業員が取引先接待で終電逃しタクシーで帰宅した場合のタクシー代は税務上どうなる?

税務上、原則として経費と認められない交際費については、その範囲が問題になります。交際費に該当するかどうか、よく迷う費用として、タクシー代があります。例えば、得意先を招待してパーティーを行い、そのパーティー会場までの交通費としてタクシー代を当社が負担することがありますが、このタクシー代は自社が行うパーティーに招待する費用であり、交際費に該当するとされています。
一方で、招待される側がタクシー代を負担したとしても、それは他社のパーティーに参加するための費用ですから、旅費交通費であり交際費には当たらないとされます。詳細はこちらをご参照下さい。

■従業員の帰宅の費用の取扱い

タクシー代についてはこのような取扱いがなされている訳ですが、どうしても納得できない取扱いとして、自社の従業員が深夜まで取引先を接待し、その後その従業員が帰宅するために要するタクシー代の取扱いがあります。取引先のタクシー代を負担する場合は別にして、従業員は接待という会社の業務に従事した結果電車で帰宅することができなくなったためにタクシー代を負担している訳ですから、このような場合の従業員のタクシー代は交際費ではなく企業が当然に負担しなければならない従業員の交通費と考えられます。

しかしながら、このような従業員のタクシー代も交際費に当たるとした裁判例(東京地裁昭和55年4月21日判決)があり、結果として実務ではこのようなタクシー代も交際費に含めるべきと国税から指導されています。

■交際費の趣旨からは該当しない

従業員の帰宅に要するタクシー代も交際費になるとすれば、範囲が相当広くなりますが、会社税務事例という専門書によると、このような費用は接待とは別のものですから交際費には当たらないと解説されています。加えて、この書籍では、交際費課税の趣旨からも、交際費に含めるべきではないと解説されています。

交際費は、接待などの費用は制限がなければ膨れ上がりやすいものですから、会社の資本に悪影響を及ぼすことが懸念されたために経費にならないとされています(冗費の抑制)。となれば、膨れ上がりやすい費用であることが交際費の要件であるはずで、業務上必要不可欠に発生する従業員の帰宅に要するタクシー代は交際費にはならないと考えられます。


■落としどころとして

ただし、実務の取扱いは上記の趣旨とは違って交際費に該当する、というものですから、従業員の帰宅に要するタクシー代については、最悪の場合のリスクは覚悟して、交際費から除くかどうか検討する必要があります。

■専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は税理士向けのコンサルティングを中心に118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開するとともに、法律論や交渉術に関する無料メルマガを配信中。

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