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出向社員の給料を出向先と出向元のどちらがどれだけ負担するかで発生する税務

相談LINE / 2018年6月1日 19時0分

出向社員の給料を出向先と出向元のどちらがどれだけ負担するかで発生する税務

経営上、自社の従業員を関係会社や取引先に出向させることがよくあります。従業員を出向させる会社を出向元、出向社員を受け入れる会社を出向先といいますが、出向に関しては税務上、寄附金課税の問題がついて回ります。

■出向と寄付金課税の問題とは?

この理由は、法人税においては社員から労務の提供を受ける先が給与を負担すべきとされるからです。出向の場合、社員は出向先で仕事をしますので、本来的には出向先で給与を支払うべきですが、出向する社員は出向元とも雇用契約がありますので、出向元が給与を支払うこともあります。

出向先で仕事をしてもらっているのに、出向先が全く給与を支払わないとなると、出向先としては出向者の給与分得することになります。こうなると、無償の利益を得ることから寄附金課税の問題につながりますので、出向先から出向元は出向者の給与に相当する給与負担金を貰うことが通例です。

■最も大きな問題になるのは較差補てん

このように、出向は場合によっては寄附金課税の問題につながるのですが、そのうち最も大きな問題になるのは較差補てんといわれるものです。較差補てんは、文字通り給与較差を補てんするものであり、出向元と出向先の給与水準が異なる場合に発生します。

具体例を申しますと、例えば出向者Aについては、出向元P社の給与水準である100の給与が支払われているとします。一方で、この出向者Aの出向先S社では、Aのポジションに見合う給与水準が80とされているとします。となると、出向先S社からAは80しか給与が貰えないことになりますので、差額の20分出向元P社が負担する場合があります。この20が較差補てんです。

■較差補てんと寄附金課税

較差補てんをする合理的な理由があれば、出向元が負担する較差補てん部分については、出向元で経費とすることができます。一方で、合理的な理由がなければ、寄附金課税の対象になります。なお、以下のようなものについては、較差補てんとして出向元で経費にすることができると解説されています。

(1)出向先の法人が経営不振等で出向者に賞与を支給することができないため、出向元の法人がその出向者に賞与を支給する場合
(2)出向先の法人が海外にあるため、出向元の法人が留守宅手当を支給する場合


■専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

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