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不動産の譲渡所得から控除できる取得費の計算方法とその注意点を解説

相談LINE / 2018年6月19日 19時0分

不動産の譲渡所得から控除できる取得費の計算方法とその注意点を解説

土地や建物を個人が売った場合には、譲渡所得の対象になりますが、譲渡所得の計算上、譲渡収入から譲渡費用(譲渡に必要な費用)と譲渡資産の取得費(譲渡した資産の取得に要した金額)を控除することができます。このうち、取得費の計算は、譲渡した資産を買った金額から、購入してから売るまでにその資産を使ったことによる価値の減少金額を控除して計算することになります。この金額を減価の額などといいます。なお、使用しても価値が減少しないと考えられている土地については、減価の額を計算する必要はありません。

■減価の額の計算方法

この減価の額ですが、譲渡した資産を事業用に使ったのか否かで計算方法が異なります。具体的には、以下の通りです。

(1) 事業に使われていた場合
譲渡した資産を取得してから、実際に売るまでの毎年の減価償却費の合計額になります。

(2) 事業に使われていなかった場合
譲渡した資産の耐用年数の1.5倍の年数に対応する、旧定額法の償却率で求めた1年当たりの減価償却費相当額にその資産を取得してから実際に売るまでの経過年数を乗じて計算します。

このため、土地以外の資産を譲渡した場合には、このような計算を行って取得費を算定することになります。

■減価償却していない場合の対応

ところで、個人事業において、資産を事業の用に供している場合には、必ず減価償却を行わなければならないとされています。このような制度を強制償却と言いますが、強制償却であるにもかかわらず、確定申告において減価償却費の計算を行っていない事業者が散見されます。

このような事業者が、その減価償却費を計上していない資産を譲渡した場合、先の減価の額をどのように見るのか問題になる訳ですが、これについては実際に事業の経費としてない場合についても、その計上されるべきであった減価償却費分、取得費を小さくすることが求められています。すなわち、取得費の計算上は、経費にしているかに関係なく、減価償却費分取得費を小さくする必要があります。

■非業務は残存価額5%を残す

その他、間違いやすい論点として、業務用に使っていない資産については、取得費の計算上、控除できる減価の額は最大で95%までとされています。ミスが起こりやすい規定ですので、内容には注意する必要があります。

■専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

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