贈与税の配偶者控除を受けるための要件とその注意事項を税理士が解説
相談LINE / 2018年7月17日 19時0分
贈与税の特例として、贈与税の配偶者控除と言われる制度があります。これは、夫婦間で居住用不動産そのものや、居住用不動産の購入資金を贈与した場合に、2,000万円まで贈与税が課税されないとする制度を言います。居住用不動産は、建物の持分などでも問題がなく、実務上は配偶者に居住用家屋の持分の一部を渡す、といった形で適用されることも多くあります。
ただし、贈与税の配偶者控除の適用を受けるためには、以下の要件を満たす必要があります。
■贈与税の配偶者控除を受けるための4要件
1 贈与者は、婚姻期間が20年以上の配偶者であること
2 居住用不動産又は居住用不動産の購入資金の贈与であること
3 贈与を受けた居住用不動産を翌年3月15日までに居住の用に供し、その後引き続き居住の用に供する見込みであること又は同日までに購入資金をもって居住用不動産を取得して居住の用に供し、その後引き続き居住の用に供する見込みであること
4 過去にこの配偶者からの贈与について贈与税の配偶者控除の適用を受けたことがないこと
その他、贈与税の配偶者控除の適用を受けるためには、贈与税の申告書に、所定の書類を添付することなども必要になります。
■婚姻期間の判断
婚姻期間が20年以上の配偶者が対象になりますが、この20年以上かどうかの判断は、贈与があった時の現況により判断することになっており、原則として婚姻の届出があった日から贈与があった日までで計算を行うことになっています。
■長期の配偶者が前提であるが
このように、この制度は長期に渡り婚姻関係のある夫婦間の贈与を前提としていますので、よく問題になるのは、贈与後しばらくしてから離婚した場合や、贈与時に婚姻関係はあるものの別居しているような場合に適用があるかどうかです。
この点、贈与税の配偶者控除の要件はあくまでも上記の通りであり、贈与段階で要件を見たいしていれば問題ないはずです。ただし、贈与を受けた後も引き続き居住の用に供する見込みであることがその要件であるため、離婚などして贈与を受けた不動産に住まない、と言った場合には適用対象外になると考えられます。
その他、これに関連して居住用不動産の贈与を受けた後即離婚した場合、その居住用不動産を贈与で受けたか、それとも財産分与で受けたか、国税と見解の相違が生じる場合があります。財産分与であれば、譲渡所得の課税問題が生じますから、注意が必要です。
■専門家プロフィール
元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。
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